ファンに間違えられた佐藤康光七段(当時)

近代将棋1999年8月号、西條耕一さんの「普段着の棋士たち 関東編」より。

5月某日

 陣屋で行われた名人戦第5局をテレビ観戦。名人戦が陣屋で行われるのは意外にも初めてだそうだが、少し笑える話がある。4、5年ほど前の棋聖戦の対局を佐藤名人(当時七段か前竜王)が一人で見に行き、玄関で「将棋連盟の佐藤です」と名乗ったが、旅館の人に信用してもらえず、門前払いをされたことがあった。羽生フィーバーが始まっていたころなので、ファンと勘違いされたらしい。王位戦で対局者として来たことがあるのにだ。

 「控え室にいる人を呼んでもらえますか」と言えば何の問題もないのに、そのまますごすご帰ってきたという。鶴巻温泉は都心に近いとはいえ新宿から往復3時間だ。島八段の「純粋なるもの」を読めば分かるが、佐藤さんがそういった場で押し問答することはあり得ないが、それにしても人が良すぎる。「第二の陣屋事件」と私は密かに名付けている。

 一昨年の全日プロが羽澤ガーデンで行われた時、佐藤さんから「新聞社の車で取材に行くなら、大手町の本社まで地下鉄で行きますから一緒に行きませんか」と言われたことがある。自分のマンションから電車で行けば羽澤ガーデンは近いのに、随分変な事を言うなと思っていたら、また門前払いされるのではと心配したらしい。

(以下略)

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私も18歳より前の頃はそのような雰囲気だったので、佐藤康光七段(当時)があっさりと帰ってしまった気持ちは分かるような感じがする。

「男は黙って」という部分と、自分が我慢して済む事なら面倒なことはしたくないという部分の混合された気持ち。

映画やテレビドラマなどでは良い方向に行くが、現実の世界では損をすることも多く・・・

     

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