羽生善治前竜王(当時)の名回答

近代将棋1991年2月号、羽生善治前竜王(当時)の質問コーナー「竜のアドバイス」より。

Q.

 つぎの3つを教えてください。

  1. 詰将棋において、詰まされる側は後手に決まっているんでしょうか。
  2. ”詰めろ”の「ろ」はどういう意味でしょうか。日本語になっているんでしょうか。名古屋の守山方面では標準語としては耳あたりがよくないんですが。後手が開き直って、「さあ、詰めろ」とでも言っている場面が語源なんでしょうか。
  3. 将棋を指す人はボケないそうですが、ボケそうな人で将棋を指さない人がいます。どうしたら、将棋好きにできるのでしょうか。

  (名古屋市守山区 Iさん)

   

A.(羽生善治前竜王による回答)

 お答えします。

  1. 詰まされる側は”後手”に決まっています。一般的には詰める側を”詰め方”、詰まされる側は”玉方”と言っています。
  2. そう言われてみれば、どういう意味なんでしょうね。なにげなく使っていますから、気がつきませんでした。まあ業界用語という感じがしますけれど。
  3. これは人によって勝負ごとのきらいな人がいますし、まあ、ボケ防止は将棋だけではありませんし、向いている人におすすめしたら、と思います。

—–

名古屋市のIさんの質問が、熱血火の玉流で面白い。

まず、「名古屋の守山方面では標準語としては耳あたりがよくないんですが」が、なかなかいい。

名古屋市守山区は、1963年に守山市が名古屋市に編入され新設された区で、名古屋市の北東部の突き出たような位置にある。

「守山方面では」と限定するところに、守山区としての意地と誇りを感じる。

あるいは、単に「耳あたりがよくない」と言うよりも「自分や守山区に住んでいる仲間たちにとっては耳あたりがよくない」というほうが柔らかい表現になるので、そのような配慮なのかもしれない。考えすぎかもしれないが。

そして、3の質問の、嬉しくなるほどの強引さ。

Iさんは心の底から将棋が好きなのだと思う。

それに対する羽生善治前竜王の回答も達人の域。

質問も回答も、絶妙だ。

    

     

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