佐藤康光名人(当時)VS藤井猛竜王(当時)

近代将棋1999年3月号、西條耕一さんの「普段着の棋士たち 関東編」より。

12月某日

 1998年の最終戦、佐藤名人-小林八段の棋王戦・敗者組決勝を観戦に連盟へ。さすがに棋士、観戦記者ともに少ない。

 佐藤名人の銀冠に小林八段の振り飛車穴熊。佐藤名人がうまく反撃して完勝。藤井竜王と挑戦権をかけて争うことになった。

 ところで、藤井竜王は4月をめどに藤井システムの本を出す予定だが、挑決戦で佐藤名人に藤井システムを使って勝つと、その本に棋譜を載せたいという。

最強藤井システム最強藤井システム
価格:¥ 2,100(税込)
発売日:1999-07

 それは、佐藤名人がこれから出版する居飛車穴熊対四間飛車の本(2月ぐらいか、いずれの本も連盟出版部から。題は未定)の中に、対藤井戦の勝局を3局とも載せるという話を聞いたからだ。

康光流四間飛車破り―居飛車穴熊VS藤井システム (PERFECT SERIES)康光流四間飛車破り―居飛車穴熊VS藤井システム (PERFECT SERIES)
価格:¥ 1,260(税込)
発売日:1999-02

 この日、対局が終わって佐藤名人といつもの新宿「鮨一」へ行った。その話になると「やっぱり載せすぎですかね」と笑っていた。5局指して3勝2敗。勝局3局を本に載せて、一部は将棋世界の自戦記にも書いているのだから、負ければ当然書かれる(負けた2局は穴熊ではないので趣旨が違うと言い訳していたが)。

 佐藤名人は藤井竜王の四間飛車を早い段階から評価していたので、やはり勝つとうれしいらしい。

 藤井竜王も、将棋世界2月号で佐藤名人の「藤井システムに出会えて幸せ」という話を読んで「あれはどういう意味なんでしょう」と言いながらもにこにこしていた。結構、二人とも意識しているらしい。竜王と名人なので、当たり前だが・・・。

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出版する本に掲載する棋譜でも張り合うところが、いかにも勝負師らしい。

この期の棋王戦挑戦者決定戦は、佐藤康光名人(当時)が藤井猛竜王(当時)に2連勝して棋王挑戦権を得ている。

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考えてみれば、「最強藤井システム」と「藤井システム破り」のように盾と矛の関係にある本が、同じ版元から同じような時期に発売される、これは将棋の技術書の世界特有のことかもしれない。

そこがまた、将棋の面白いところでもあると思う。

     

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