畠山鎮初段(当時)「この男! 攻め合い二手勝ちの将棋で自陣に駒張りよる! この鬼! 悪魔!」

将棋世界1987年4月号、伊奈嘉文さんの「関西奨励会レポート」より。

 いつもの事ながら、今日も畠山鎮君が怒っている。「あーもーまた1勝1敗やったぁ! 1-1地獄だ! うぎゃあ!」と叫び回ったかと思ったら、次は奨励会で杉本三段が陰険に指したと言ってまた怒り出す。

畠山「この男! 攻め合い二手勝ちの将棋で自陣に駒張りよる! この鬼! 悪魔!」

 しかし温厚な杉本君も、ここまで言われては黙っていない。ノータイムでビシッと反撃した。

杉本「カモ!」

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この時、杉本昌隆三段18歳、畠山鎮初段17歳。

二段差なので香落ちで、振り飛車の杉本三段に畠山鎮初段が敗れたのだろう。バサッと斬ってくれるのではなく、自陣に駒を埋め込む友達を無くすような手を指されて。

「カモ!」は、もちろん”鴨が葱を背負ってくる”の鴨。

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年齢が近くもともと気が合っていたのか、あるいはこのことがきっかけで仲が良くなったのか、この3年後に二人でシンガポールに旅行をしている。

杉本昌隆四段(当時)「この人、見かけによらず将棋好きで、意外にも俺のファンなのではないか」