佐藤康光九段の「思い出のアルバム」

佐藤康光竜王(当時)誕生に際しての将棋マガジンでの特集から。

将棋マガジン1994年4月号、「佐藤竜王 思い出のアルバム」より。

生後3ヵ月

生後6ヵ月

1975年、5歳。雪の日に。

1975年、幼稚園に入園。

小学校2年生(7歳)

小学校5年生(11歳)

* * * * *

自宅で作るカレーに飽きて、2ヵ月前から具は同じものを使ってビーフシチューを作っている。

今までに3回作って、市販のルーが優秀なのか、毎回美味しかった。

先日、4回目を作ろうと、スーパーへ買い物に行った時に牛肉を仕入れようとしたのだが、煮込み用の肉が売り切れており、すぐ隣にあった安売りされている牛肉のブロックを買ってみることにした。

「まるごと煮込んでも悪くないかもしれない」

家に帰ってその肉を見ると、ローストビーフ用もも肉と書かれていた。

やや不安を覚え、ネットで、もも肉がビーフシチューに向いているのかどうか調べてみると、もも肉は煮込んでもどんどん硬くなるばかりで、シチューには不向きと書かれていた。

圧力鍋を使う、赤ワインにつけておく、信じられないほど長時間煮込む、などの手を施せばもも肉でもシチューで使えるらしいが、そこまでやる元気がない。

何事も経験だと思って、何の策もなく、通常の作り方をした。

鍋をかき回しながら、将棋でいうと、▲2六歩~▲2五歩と飛車先の歩を伸ばしてから、問題ないだろうと三間飛車に振ってしまい、定跡書を読んでみたところとんでもないことをしたことが分かり、真っ青になっているような状態が今なんだな、と思った。

でも、このような将棋でも、佐藤康光九段なら指しこなせる。あと升田幸三実力制第四代名人も。

そのようなことを考えながらビーフシチューを食べたら、やはり肉が硬くて味も馴染んでおらず、佐藤康光九段と升田幸三実力制第四代名人の偉大さばかりを感じるのだった。