「羽生なら3分35秒、郷田なら2分24秒」

将棋世界1991年9月号、大崎善生さんの「編集後記」より。

 9分44秒、これはタイムトライアル(この号の付録・詰将棋)の森下六段の成績。一題一題に、「いやあ素晴らしい」 「きれいな筋です」とニコニコと感想をまじえ、タイムなんて二の次という姿勢に時計を持っているこちらはヒヤヒヤ。

 しかしタイムが天野君(編集部員)とあまり変わらないと伝えると、「私の9分と天野さんの9分を一緒にされては困ります」と一言。さすがに説得力のある森下流。しかし、よく考えれば、一体何が違うんだろう?

同じ号の、沼春男五段(編集長)の「編集後記」より。

 今月の付録は久しぶりのタイムトライアルでした。

 例によって初級篇を何人かの棋士にアタックしてもらいましたので紹介します。

 郷田四段=2分24秒

 先崎五段=2分51秒

 羽生棋王=3分35秒

 森信五段=4分58秒

 丸山四段=6分26秒

 などでした。最長は野口君(編集部員)で40分。

 また大崎君は15分50秒でした。もっとも途中に電話が3本入ったそうです。

 私は・・・とにかく全部は詰ましました。

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タイムトライアル、何問あったのかは調べようがないが、とにかくすごいスピードだったのだろう。

ホームページの刷新により、かなり古い記事は消えてしまったが、日本経済新聞の1995年の将棋王国には、

将棋界には「羽生なら1分、郷田なら30秒」という言葉がある。終盤の詰むか、詰まないか、という勝敗が分かれる最も重要な局面。6冠王の羽生善治王座ならば難しくても1分間でだいたい読み切ってしまう。これが郷田ならばもっと速い、という意味である。

と書かれていた。

この時の解答時間がそのような言葉となって発展したのか、あるいはそれ以前から存在した言葉なのか、どちらにしても面白い対比だ。

編集部に立ち寄った若手棋士を中心に測定されたようだが、当時の森内俊之五段、佐藤康光五段、村山聖五段などの解答時間もあればどうなっていたのか、非常に興味深いところだ。

      

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