第76期名人戦第6局対局場「天童ホテル」

佐藤天彦名人に羽生善治竜王が挑戦する名人戦、第6局は山形県天童市の「天童ホテル」で行われる。

〔中継〕
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天童ホテルは、創業100余年の宿。2015年春に館内がリニューアルされ、庭園から流れ落ちる滝を眺める滝見露天風呂が自慢。

一昨年、佐藤天彦名人が名人位の獲得を決めた対局場。

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〔天童ホテルでの昼食実績〕

将棋棋士の食事とおやつによると、天童ホテルでのタイトル戦の昼食実績は次の通り。

2016年名人戦第5局

羽生善治名人 ●
一日目 天ぷらそば
二日目 五目あんかけ焼きそば

佐藤天彦八段 ○
一日目 海の幸のチャーハン
二日目 サンドイッチ

2011年名人戦第6局

羽生善治名人 ◯
一日目 五目あんかけ焼きそば
二日目 寿司
森内俊之九段 ●
一日目 ビーフカレー
二日目 山形牛のステーキ

2009年王将戦第7局

羽生善治王将 ◯
一日目 五目あんかけ焼きそば
二日目 海の幸チャーハン
深浦康市九段 ●
一日目 カレーライス、
二日目 天ざるそば おにぎり1つ

2008年名人戦第6局

羽生善治二冠 ◯
一日目  ビーフカレー
二日目 五目あんかけ焼きそば
森内俊之名人 ●
一日目 ビーフカレー
二日目 天ざるそば

※羽生二冠が名人奪還、永世名人称号を獲得した一局

〔昼食予想〕

佐藤天彦名人のカレー系、羽生善治竜王の五目あんかけ焼きそばは確定的と思われる。

予想は次の通り。

佐藤天彦名人
一日目 山形牛のステーキ
二日目 ビーフカレー

羽生善治竜王
一日目 海の幸チャーハン
二日目 五目あんかけ焼きそば

 

藤井猛九段「注意書きをよく読んで、用法用量には充分御注意ください」

将棋世界2003年7月号、藤井猛九段の「藤井の実戦思考」より。

 3ヵ月間自戦解説を通し、一見当たり前に思える一手の裏の、普段あまり語れない思考の中身を披露していきたい。正統的、表向きだけではない、実戦的裏技的考えも紹介したいと思う。

「5筋不突き美濃囲い」

 平成10年に行われた第69期棋聖戦、谷川浩司竜王・名人(当時)との一戦から(便宜上先後逆)。

 1図は△4二金上と舟囲いを完成させたところ。美濃囲いは▲5七歩型(5筋不突き)美濃。5筋の歩を突いているかどうかで美濃囲いの堅さが大きく違ってくることを覚えていただきたい。

 A図は▲5六歩型の美濃囲いで、実戦では一段竜と6六角のラインで3九の地点を狙われる場合が多い。

 これに比べてB図。今度は5筋不突きなので、段違いに堅いことが分かっていただけると思う。

 しかし、四間飛車対居飛車急戦の定跡書では、ほとんどが5筋の歩を突いた美濃囲いで解説されている。5筋の歩を突かない美濃囲いは駒の捌きが難しいからだ。

 例えば、角を6八に引く展開になったとき、▲5六歩は省けない一手になってくる。

 本局は、光速の寄せ対策として玉の堅さを重視し、5筋不突きのまま捌けるよう工夫した。

 第一の工夫が▲9六歩(2図)。

 この場合、居飛車が急戦で来ているので、厳密に言えば緩手かもしれない。

 しかし、端歩は一手パスになるかもしれないが、マイナスにはならない手。戦いの中で▲9七香や▲9七桂と指せるのは大きい。自分の過去の対局でも、端歩が利いて勝利に結びつくことが多々あった。

 端歩を突くか突かないかは、綿密な研究のもとに決めているわけではない。経験が私に知らせてくれるのである。

 これに比べ、戻って1図から▲5六歩や▲5八金左とするのは、価値も高いが、展開によってはマイナスになる可能性もある(もちろん悪手ではない)。

 2図から△6四銀▲7八飛△7五歩▲6八金と進んで3図の局面。

 居飛車としては端歩を緩手にしたいので、素早く仕掛けて来た。

 ここは▲6八金が受けの形。△7六歩▲同銀△7二飛と攻められても▲8八角と引き、△7七歩には▲同金で大丈夫。

 3図から△7六歩▲同銀△7五歩▲6七銀△7三銀引と進んで4図。

 ここから部分的な定跡手順として、主に3通りの指し方がある。

  1. ▲5六歩△7四銀▲5七金△6四歩(D図)
  2. ▲7六歩△7四銀▲7五歩△同銀▲6五歩(E図)
  3. ▲7六歩△7四銀▲9五角(5図)

 中盤戦で一番難しいのがこのような局面。どの道に入っていくかでその後の運命が大きく変わってくる。

1.D図は無難な手でこれも一局の将棋だが、▲9六歩と指した精神に反している。

2.E図はこの場合無理筋で、△7七角成または△5五歩で不利。▲6八金・▲5七歩型では成立しない。

3.5図も一見すると無理だが、▲5七歩・▲9六歩型が生き、逆に居飛車側は△4二金型がマイナスになると判断。これを選択した。

 5図から△7六歩▲同銀△6六角には▲6七銀がピッタリした手。

 △9四歩にも▲6二角成△同飛(△同金は▲7一銀)▲7五歩△8三銀▲7四歩△8四銀▲7三銀(F図)で、いずれも振り飛車よし。

 また5図から△7六歩▲同銀△9四歩が有力な手だが、強く▲6二角成△同飛▲6五銀△同銀と進め、ここで銀を取らずに▲7一飛成(G図)が好手。

 G図では瞬間的に角損になっているが、「5筋の歩を突かない美濃囲いは、銀損や角損でもいい勝負」※注意書きをよく読んで、用法用量には充分御注意ください(笑)。

 自玉が鉄壁なので攻めさえ続けば多少の駒損は関係ない。

 G図から△6六銀なら▲8一竜、△6六角なら▲7七桂(H図)で振り飛車優勢。

 ちなみにH図で▲5六歩型の美濃囲いだと△3九銀▲同金△同角成▲同玉△9三角の王手竜取りを喫してしまう。

 実戦は5図から△8六歩▲同角△7六歩▲同銀△7五歩▲同銀△同銀▲同飛△6六角▲7六飛と進み6図となった。

「△4二金型を狙う」

 ここからの手順は△4二金型を咎めた動き。

 6図から△9九角成には▲7一銀△8六飛▲同飛(▲同歩は△7三銀)△7一銀▲8一飛成(I図)となる。

 △4一金型なら△6二銀とされ振り飛車劣勢となるところも、I図では逆に必勝。△4四馬にも▲7二歩が利く。

 本譜は△8八角成▲7一銀△8七馬▲4二角成(7図)と進む。

 ▲4二角成が豪快で気持ちよい手。

 このような手を指す時は、駒音高く、加藤一二三先生になりきった手つきで指しましょう(笑)。

「守りの金と角の交換は金が良い」

※同じく用法用量に注意(笑)。

 以下△4二同玉▲7五飛△8六馬▲8二銀成△7五馬▲7二成銀(8図)。8図は難しいが振り飛車ペース。

(以下略)

* * * * *

講座の中に、ボソボソっと「※注意書きをよく読んで、用法用量には充分御注意ください」と突然出てくるのが、藤井猛九段らしいところ。

この後、(「金底の歩岩より堅し」※これは普通の格言)という箇所も出てくる。

* * * * *

「5筋の歩を突かない美濃囲いは、銀損や角損でもいい勝負」

「守りの金と角の交換は金が良い」

たしかに、全てのケースでは当てはまらないかもしれないが、非常に参考になる格言だ。

将棋の格言の中には「遊び駒は活用せよ」「玉の早逃げ八手の得」のように実際に役立つ格言もあるが、「三桂あって詰まぬことなし」のように古来から疑問視されている格言もある。

それに比べれば、注意書きをよく読まなければならない劇薬的な格言の方が実戦の役に立つ可能性が高い。

用法用量には充分注意をしなければならない『藤井猛流格言集』が出版されれば、かなり人気が出そうな感じがする。

* * * * *

昔の本で読んだ記憶があるが、「三桂あって詰まぬことなし」は「計算(=三桂=桂三)すれば詰まぬことなし」という意味だとする説もあるようだ。

 

升田幸三実力制第四代名人「こうすれば最低A級にはなれる」

昨日からの続き。

将棋世界2003年8月号、泉正樹七段(当時)の「一触即発 升田式石田流」より。

 最後になりましたが、升田先生の記録係を務めた時(12歳頃2回)、何度もかんで含むようにおっしゃってくれたことを記し、終わりとさせていただきます。

「遊んどったら駄目。若いうちはたくさん勉強する。女は別じゃが、酒とタバコは30になるまではよした方がよろしい。頭が悪くなるからな。こうすれば最低A級にはなれる」。

* * * * *

升田幸三実力制第四代名人は子供の頃から酒、タバコをやっていたわけで、これは自戒の意味も込めていたのか、あるいは自分は子供の頃からやっていたという極めて悪条件にもかかわらず名人に香を引いた特別な人間だが、一般の人は真似をしちゃいかん、という意味を込めているのか。

きっと両方かもしれない。

* * * * *

しかし、「女は別じゃが、酒とタバコは30になるまではよした方がよろしい。頭が悪くなるからな」と言われれば言われるほど、

  • 女性の話はわかった。女性とどんどん仲良くするように心がけよう
  • このように何度も「よした方がよろしい」と言われている酒とタバコとは一体どのようなものなのだろう。一度試してみよう

となるのが通常の手順。

中田功七段も、上京前にお父さんから「功、酒とたばこと麻雀は絶対やるなよ!」と言われて、酒、タバコ、麻雀の道に邁進することになる。

中田功七段らしさ

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泉正樹八段の青春時代。

泉正樹四段(当時)「さわらぬ彼に不満あり」

泉正樹四段(当時)「さわらぬ彼に不満あり 完結編

泉正樹六段(当時)「続・さわらぬ彼に不満あり」

泉正樹六段(当時)「続・さわらぬ彼に不満あり 完結編」

 

「▲7六飛と浮いた形が仮面ライダーの様にカッコ良く思えて、いつも心の中で『トウッ、ライダー変身』と叫んでいました」

将棋世界2003年8月号、泉正樹七段(当時)の「一触即発 升田式石田流」より。

 将棋を覚えた頃の強烈な印象は時が数十年経過しても脳裡に残っているもの。

 昭和46年の大山-升田の名人戦に子供心にも感動し、升田式石田流に熱中し1年程で初段にかけ上がった。

 振り飛車を指すときは三間飛車と決めていた訳で、特に、▲7六飛と浮いた形が仮面ライダーの様にカッコ良く思えて、いつも心の中で「トウッ、ライダー変身」と叫んでいました。

 形を見よう見まねでも、町道場のおじちゃん相手なら縦横無尽、「ライダー2号一文字隼人は改造人間である……ショッカーの地球征服を阻むため…」といった調子で連勝街道爆進!

 やさしいおじちゃん達は「ボウヤ、こんなに強いんだからプロを目指しな。だけどなボウヤ、将棋指してる時に仮面ライダーの歌うたっちゃいけネエな、奨励会はスゴく厳しいんだからさ」お調子者の正樹少年を正してくれていました。

 升田先生の奇想天外な戦法を理解し始めたのは奨励会入会を果たした後のこと。

 先輩達に教わりつつ試しても全然通用しない。相手が強ければどんな戦法を使っても跳ね返されるだけ。5級の頃、「升田式石田流を指しこなすのはヒゲツラで怖くなきゃムリ」と悟り使用禁止にしました。「光陰矢の如し」で早や30年。過去を振り返り思うことは、人間の記憶というものはいかにあいまいで、いい加減なものかということに気付かされます。

 なんと棋士泉は、あの時封印したはずなのに数年前からちょくちょく用いているではありませんか!それも研究会ならともかく、よりによって棋士の本義ともいうべき順位戦で。

 酒を生涯の友と定め数十年、敗戦の度に決意した約束事をも簡単に放り出してきた気がする。

 お酒というものは程度を守っていれば本当にいい気分にさせてくれますけれども、危険区域を突破しようものなら「ガルッガルルッまだお金おもってるんだから飲ませてくれてもいいでしょう~」と、宵越しの銭放銃モードで怪物化します。

 ですから、禁断だろうと封印だろうと平気で忘れちゃって、しばらく経っても失敗に気づかない。

 頭がイカレているのを棚に上げお酒のせいにするのは最悪。少しずつ直そう。

 さて16頁の講座ともなれば周到な用意が必要ですが、正直いって準備不十分。

 これでは升田先生の怖い目が気になりますが、後戻りはできないので始めます。

(以下略)

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野獣猛進流の泉正樹八段。

「ガルッガルルッ」が出てこないと納得しない将棋世界読者、近代将棋読者も多かったと思う。

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アマチュア時代は振り飛車党でも、奨励会入会あるいはプロになってから居飛車党になっている棋士が多い。

逆の流れで、アマチュア時代に居飛車党で奨励会に入ってから振り飛車党になったのは窪田義行七段。

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一番最初の『仮面ライダー』 は、1971年4月から1973年2月まで放送されていた。(泉八段が10歳から12歳の頃)

仮面ライダー1号が本郷猛(藤岡弘さん)、仮面ライダー2号が一文字隼人(佐々木剛さん)。

泉八段は、仮面ライダーの放送が終わった年に奨励会に入会している。

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泉八段の実家は東映大泉撮影所の近くで、その関係もあって泉八段が子供の頃は、東映制作のテレビドラマ『柔道一直線』や『ジャイアントロボ』に子役として出演していた。

『仮面ライダー』 も東映の制作。(撮影は東映生田スタジオ)

泉少年にとっては、仮面ライダーの格好良さに加えて、東映に対する愛着もあったのかもしれない。

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泉正樹八段の若い頃→「関東若手棋士 地獄めぐり」

 

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