福崎文吾八段(当時)「これはなんとかして秘密にしとかなあかん」

相手玉に詰みがあるのに投了してしまった一局。

将棋世界2003年1月号、神崎健二七段(当時)の「本日も熱戦 関西将棋」より。

図以下の指し手
△―19 
まで、131手で西川七段の勝ち

 19分考えて「負けました」と福崎八段。「詰んでたでしょ」と西川。

「△8八角成▲同金△9六銀▲同玉△6六飛成▲8六香が逆王手だけど」

 確かに参考図は逆王手。

「でも、△8五銀▲同玉△6七角▲9六玉△8五金で…」

「この局面までに途中で気づいたけれども、そこからは変化のしようがなかった。1分将棋だったし…」

 なんと、相手玉に詰みのある局面で福崎は投げてしまったのである。福崎の驚きはいうまでもない。

「もう42歳やからなぁ」

(記録係に向かって)「ここで詰みがあったということは内緒にしといてなぁ」

 こんな状況でも、ユーモア抜群のコメント。

 この一局は、福崎の振り飛車穴熊。西川の左美濃というお互いの得意戦法で始まった。

 福崎は最近本を出したそうで、その名も『振り飛車穴熊戦法』(創元社)。「玉の堅さと攻撃力をそなえた振り飛車穴熊」がキャッチフレーズ。本日は著書を意識した戦法選択だったのだろう。

 西川七段の息子で、関西奨励会に在籍しているの西川和宏4級の得意戦法は振り飛車穴熊らしい。父親と同じ職業をめざしていても、全く正反対の棋風みたいなのがユニークと、棋士間でも少し話題になったことがある。

(中略)

 感想戦終了直前。

「これはなんとかして秘密にしとかなあかん」と福崎。

「でも、将棋世界には少なくとも載るんじゃあないかな」と西川。

「隣は熱心に自分の将棋の感想戦をしているから、たぶんだいじょうぶかな」

 だが、隣で感想戦をしていた筆者もこれではいやでも聞こえてしまう。もちろんこうやって記事にもさせていただいた次第。西川のヨミは詰みの有無だけではなくて、終局後の変化予想も正確なようだった。

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相手玉に詰みがあるのに投了してしまったというケースは複数例ある。

それにしても、1図から先手玉が詰んでしまうとはビックリする。

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記録係に向かっての「ここで詰みがあったということは内緒にしといてなぁ」が、いかにも福崎文吾九段らしい絶妙な会話。

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ここまで書いているうちに、福崎流の面白い大盤解説を聞いてみたくなったので、Youtubeを探してみると、見つかった。

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大盤解説ではないが、このようなこともあったようだ。立会人としての新趣向。

【第75期将棋名人戦七番勝負・第5局】立会人の新趣向

 

 

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