佐藤康光八段(当時)「ところでハブに効くと言われている名所を皆様はご存知か?」

将棋世界1997年11月号、佐藤康光八段(当時)の第69期棋聖戦〔対 塚田泰明八段〕自戦記「塚田スペシャルに挑む」より。

近代将棋1997年9月号より、撮影は弦巻勝さん。

 今回の王位戦挑戦は惨敗に終わった。久方ぶりのタイトル戦であったが、さすがに羽生王位は強かった。8月は本当に忙しく、暇が殆んどなかったので慣れない疲れが出たのかもしれない。

 こういう時の対処法はこれからは頭に入れておかなくてはいけないようだ。

 ところでハブに効くと言われている名所を皆様はご存知か?今から1年半程前に米長九段が将棋マガジン誌に紹介された九州・壱岐の島にある霊泉・高峰温泉である。

 先日、私も福岡に行った際、予定を組み、行ってみる事にした。

 高速フェリーで1時間、壱岐には初めて行ったが、海水浴や釣りをするには最高らしい。またやはり海の幸も絶品である。

 壱岐の西端にある湯の本温泉の中の一つ、どうも公衆の温泉のようである。

 確かにここの受付のおばさんは全く不愛想。何を聞いてもどなられてしまった。

 中に入ると、かなり質素な感じだが、外の景色がまた素晴らしい。

 何故効能があるのか分からないが古い言い伝えがあるのかもしれない。

 ゆっくりと入浴したが、疲れも取れた感じで快適。良い気分転換になった。

 また機会があれば行ってみたい。米長先生には御礼を言わねばならない。

 ただし、私が一つだけコメントするとすればこの高峰温泉は付き合い始めのカップルとか新婚旅行ではあまりお勧めできない。

 箱根に行く感覚だと何かもめごとが起こる可能性もあるので気を付けて行かれることを願う。

 9月。月も変わればツキも変わるか、等というような事にもすがらなくてはいけなくなってきた。連敗が止まらないのである。

(以下略)

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本当に壱岐へ行ってしまうところが、真面目な佐藤康光九段らしくて微笑ましい。

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「ところでハブに効くと言われている名所を皆様はご存知か?今から1年半程前に米長九段が将棋マガジン誌に紹介された九州・壱岐の島にある霊泉・高峰温泉である」

米長邦雄九段は、この温泉に入った7ヵ月後の日本シリーズで羽生善治六冠(当時)に、14ヵ月後に行われた竜王戦1組ランキング戦1回戦で羽生五冠(当時)に勝ち、対羽生戦を2連勝している。

なかなか長期間、効能がありそうだ。

ハブに効く温泉

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とはいえ、この温泉は、ハブを退治するのではなく、ハブに咬まれた傷に特効があると言われる温泉。

攻撃的なものではなく、傷を癒やすことが目的なので、漢方薬のように、即効性はなくじわじわと効いてくるものだったのだろう。

高峰温泉へ入った後、佐藤康光八段(当時)は翌年1月からの王将戦で羽生王将(当時)と七番勝負を戦うが1勝4敗で敗退。

しかし、その後のA級順位戦プレーオフで羽生四冠(当時)に勝って名人挑戦を決め、谷川浩司名人(当時)からの名人位奪取へと至る。

高峰温泉には独特なパワーが秘められているに違いない。

湯ノ本温泉<高峰温泉>

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「ただし、私が一つだけコメントするとすればこの高峰温泉は付き合い始めのカップルとか新婚旅行ではあまりお勧めできない」

今から24年前の話。今でもこの女性が受付をやっているのかどうかはわからないが、かえって共通の敵(?)ができて、逆に、二人の関係がもっとうまくいくと考えることもできそうだ。

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