橋本崇載七段

今日の王位戦挑戦者決定戦は、羽生善治名人・王座・王将が橋本崇載七段に勝った。今、北海道新聞が中継をした結果を見たが、テレビ向きの面白い将棋だったように思う。以前から感じていたが北海道新聞の中継はなかなか好感が持てる。

橋本七段にとっては残念な結果だったが、もうひとつ上にブレイクする良いきっかけになっているかもしれない。

ところで橋本七段は、一昨年の将棋ペンクラブ大賞一般部門で佳作を受賞している。週刊将棋アマプロ平手戦五段戦(橋本崇載-天野高志戦)の自戦記。これは橋本(当時)五段が負けた一局。

友人達と飲んで盛り上がった前日の様子。そして対局当日。大優勢になったが残り時間をみると、自分の残り時間が少ない。1分将棋になる前にトイレに行こうと駆け足で対局室を出たが、その瞬間に高い駒音が聞こえてきて慌てて戻る。この頃から精神的に追い詰められる。そこから悪手が続き無念の敗局。

(途中、『「阿久津がこの将棋を見たら、どう思うのだろう?」阿久津主税は私のライバルである。』という記述がある。2年後の将棋世界で、この二人が順位戦予想をやっていて、かつB2順位戦第一局で対戦していることを思うと、この2年前の言葉がいまだに生きているし、今後も続くことになるのだと思う)

最後は、一人で飲みに行き、尊敬する女性と会話をして救われた気持ちになるという展開。

この橋本(当時)五段の自戦記は、はじめは観戦記部門でノミネートされていて、二次選考でも高い評価を受け、最終選考会での選考対象となったのだが、最終選考会では意見が真っ二つに分かれた。

「ドラマがあって非常に読ませる。勝ち将棋だったなら難しいが、負け将棋だからこれが書けた」という意見もあれば「これは観戦記や自戦記ではなく随筆だ」という意見もあった。

結果的には、観戦記部門で良い作品があったので、橋本さんの自戦記は「観戦記」部門では受賞にならなかった。

そして、一般部門(将棋雑誌などに載っている作品)。

この年は何作かノミネートされていたが、最終選考委員全てが一押しがないという状況。このままでいくと一般部門は受賞作なしということになる。

そこで、橋本さんの自戦記を随筆ということで評価してはということになり、観戦記ではNGだった最終選考委員も、随筆としてならOKということになり、橋本さんの自戦記が一般部門佳作となった(この部分は将棋ペンクラブ会報で記述)。

あの判断は正しかったと思う。