竜王戦第４局２日目。
渡辺明竜王のカド番。
じっくりと棋譜の入力などをする時間が取れなくて、このブログでの昭和４６～４７年の将棋世界の面白かった記事の抜粋が止まっているが、将棋世界昭和４７年８月号、中原誠名人誕生となった名人戦第六局の自戦記を中原新名人が書いている。この時、中原挑戦者は、居飛車で大山振飛車に立ち向かっていったのだが、棒銀が連続不発で、２勝３敗のカド番に追い込まれていた。
０勝３敗と２勝３敗の違い、防衛戦と挑戦者の立場の違いはあるが、これから引用する中原新名人の自戦記の冒頭の文章と、今の渡辺竜王の気持ちは同じなのではないだろうか。あくまで想像の世界だが。
以下、中原新名人の文章。
「二勝三敗とカド番に追い込まれて、第六局を迎えた。本局を前にしての私の感じはこうであった。
カド番で気楽になったといっては変だが、とにかく今年はダメだと思った。内容的に見ても、第三局と第五局など、あっけないほどの短手数で敗れている。
やはり名人戦という意識が強すぎたように思う。第六局では、伸び伸びと思いきった将棋を指してみたいと考えていた。
振飛車に出たのも、その考えの現われである。居飛車作戦の欠乏といえなくもないが…とにかく棒銀戦法ばかりで三敗を喫したのは、攻め急ぎと工夫の足りなさからであったろうか。
大山名人と指す場合には、常に創意と工夫をもってのぞまなくてはと痛切に感じた次第である。」
「大山名人」は今回の場合「羽生四冠」と読み替えることができる。
この結果が、中原新名人誕生となった。
竜王戦第４局、渡辺竜王の陣形は突っ張りに突っ張っている。
渡辺竜王と羽生四冠、どちらも応援したい。やはりフルセットまでの戦いを見てみたい。
ちなみに、昭和４７年名人戦第六局のトピックスを。
先手：中原誠棋聖 後手：大山康晴名人
中原、５手目で振飛車の決意表明。
大山、強気の△４五歩。
決戦開始。
有名な局面。大山、△８九飛が悪手。▲３一銀で逆転。
投了図。
