将棋世界1997年1月号、伊藤果七段の「詰将棋サロン解説」より。
いつの頃からか、将棋の弟子を多く持つようになっています。
自分でどうしてそうなっていったのか、よく思い出せないんですが、今ではこれもぼくの人生の中のひとつの大事な流れと、思わざるを得ません。幸いにして今年の春に新四段になった堀口一史座君も各棋戦で好調で、木村さゆり嬢も倉敷藤花戦で挑戦者とようやく檜舞台に躍り出るなど、嬉しい恩返しには弟子に感謝です。
(中略)
10月には二人の女性が新たに弟子となりました。今期から女流育成会参加の真壁栄理子さんと、伊奈めぐみさんです。
真壁さんは大学生ですが、まだ将棋を覚えて一年程度でありながら女流アマ名人を獲得した逸材で、今後の伸び方に目が離せません。
伊奈さんは16歳ですが、なんと”将棋より詰将棋のほうがずっと好き”とはっきりいう、ぼくには涙が溢れるほど喜ばしい貴重なる女の子です。
彼女には”将棋の弟子としてよりも、君は詰将棋の弟子として、第一号にするからね。だから、創作にも励むように・・・”なんて、つい本音がでてしまいました。
本誌サロンに、伊奈めぐみ「初入選」の文字が活字になる・・・そんな夢を果たしてくれそうな予感を感じたからです。
純粋に詰将棋が好きといえる子が、それも若い女の子が存在していたとは、奇跡としかいいようがありません。またひとつ、予想もつかなかったうれしい任務が増えてくれました。
(以下略)
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2004年に渡辺明五段(当時)と結婚をする伊奈めぐみさん。
女流育成会に在籍したのは1996年~1997年の2年間だったが、伊奈めぐみさんの詰将棋作品は詰将棋パラダイスに何度も掲載されることになる。
調べてみると、1997年に出版された『7手詰めパラダイス』と2001年の『新7手詰めパラダイス』に伊奈めぐみさんの作品がそれぞれ収録されているようだ。
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結婚の時は、多くの詰将棋の仲間たちが祝福をした。
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また、伊奈めぐみさんは、将棋パイナップルのリレーエッセーで、詰将棋に関することを面白く書いている。2002年の終盤か2003年初頭の頃のエッセイ。
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将棋パイナップルリレーエッセーは、テレフォンショッキングの将棋界版といったような感じのリレーエッセイで、アマおよびプロの様々な方が書かれている。
2003年でいえば、61番目の伊奈めぐみさんが2003年1月とすると、94番が2003年8月頃。つまり週1回位のペースで更新されていたということになる。
なぜ94番が2003年8月頃だったか知っているかというと、94番は私だったので。
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93番の船戸陽子女流二段からバトンが回ってきた。
リレーエッセーの存在を初めて知ったが、緊張で身が引き締まった。
バトンを受け取った時点で、バトンを渡す相手も決めておかなければならない。
95番は湯川恵子さんにお願いすることにした。
とにかく、書くからには面白いものを書こうと気合が入った。
締切りまで2週間。
しかし、いろいろとテーマを考えたものの、筆が進まない。
1週間ほどして書く題材を決めたが、3行書いてはやりなおす繰り返し。
仕事の忙しさにかまけて、4行目以降も進まない。
そうこうしているうちに締切りが過ぎてしまう。
ある日、湯川恵子さんから電話があった。
「眞田さんのがもう載ってるよ」
湯川恵子さんがバトンを渡した96番の眞田尚裕さん(将棋を世界に広める会理事長)がアッという間に原稿を書いて、既に掲載されているのだった。
湯川恵子さんの原稿も、その後すぐにアップ。
取り残された私は、私は・・・
あれから9年経った。
将棋パイナップルリレーエッセー史上、初めて穴をあけてしまったのが私だ。
管理人のmtmtさんには申し訳ないことをしてしまった。
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ネット上でのリレーエッセイは非常に面白い企画であることは間違いない。
”棋士の妻たち”リレーエッセイ
将棋女子リレーエッセイ
などもあってもいいかもしれない。