人間万事塞翁が馬(1)

社会人リーグ2日目。

朝起きたら8時30分。かなり焦って朝風呂に入り家を出る。

今日は児童文学作家の川北亮司さんが、原宿カサブランカから社会人リーグ初デビューの日。

9時50分に会場に到着。エレベータの扉が開くと、目の前はLPSAコーナー。LPSAの緑色のTシャツを着た船戸陽子二段がニコニコ笑って私を見ている。

「今日から発売のLPSA所属全女流棋士署名扇子、超お勧めですからあとで買いに来てくださいね♪」

うむっ、船戸さんに頼まれたのなら何か買わなくてはいけない。

3部リーグ赤のあたりへ行くと、既に川北さんは到着していた。

「すごい人数だねー」

「1000人は軽くいってますね」

「なんか俺、燃えてきちゃうなー」

第1戦開始。30年前の刑事ドラマに若手刑事役で出演したことがあるように見える川北さんの相手は、アキバ系の美女。これだけでも劇的である。

私は第1戦から第4戦まで川北さんの隣での対局だったが、第1戦、川北さんは相振飛車から豪快に捌き、勝利。相手の女性もかなり強かった。

私は石田流だったが、たまたま対棒金の経験のある形となり、勝たせていただくことができた。チームは4勝3敗で薄氷の勝利。

感想戦が終わったあと、船戸さんお勧めのLPSA所属全女流棋士署名扇子を買い求める。

「次の対局、その扇子使って、勝ってくださいねー」

船戸さんの、この言葉を守っていれば良かったと、後で私はつくづく思うことになる。

つづく