将棋世界、昭和46年11月号、高柳敏夫八段「終盤のポイント」より。
昭和46年1月19日棋聖戦、大野源一八段-本間爽悦七段戦。(段位は当時のもの)
「振飛車名人」かつ「飛車使いの名人」故・大野源一九段の絶妙な捌き。
大野九段得意の5七銀型中飛車。大野九段は、棒銀に対しては軽くいなすパターンが多かった。
▲5五歩△同歩▲7六歩△5六歩▲7五歩△5七歩成▲同飛△5五銀▲7七桂
(このへんは、後述の通り高柳八段の細かい説明がないので、私の解説に誤りがあれば、コメント欄へ是非書き込みをお願い致します)
▲5五歩を△同角は、▲7六歩△8六銀のあと、▲4六銀△2二角▲5五歩となり後手不満。
▲7六歩に△8六銀は、▲4六銀△5四銀▲5六歩で後手厳しい。
それ故、我が道を行く、銀の取り合い。
▲7七桂は、まさしく大野流。△8六飛と走ると▲6五桂が炸裂する。
以下、△5四銀▲8五桂△5六歩▲同金△同銀▲同飛△4五銀▲2六飛△3五金▲3六歩
▲6五桂を避け△5四銀と上がるが、▲8五桂として後手の飛車先を防ぐことに成功した。△8四歩と桂を殺しにいっても▲7三桂成△同桂▲7四歩で無駄足になる。後手は先手の飛車を殺しにかかる。
以下、△同銀▲4六銀△5八歩▲同金△2六金▲同角△8八飛▲4九金△4四歩
将棋世界では、この局面が第二図。「終盤戦がポイントなので細かく説明できないのが惜しいようなみごとな中盤戦である。本間七段の攻撃から大野八段が反撃。▲8五桂と、金銀をさばいた味が印象的。そして飛の捨て方もうまい」とある。
以下、▲3三歩△同角▲3五歩△2五銀▲3四歩△同銀▲3五銀打
大野九段は、軽妙な捌きだけではなく、▲3五銀打のような重い手も局面によってはよく指した。
以下、△4三銀▲3四歩△2二角▲5五銀△5七歩
▲5五銀から玉頭に圧迫をかけようとする大野八段。▲5五銀の一呼吸に、本間七段狙いの筋が出る。
つづく