成田三樹夫さん

今日は、先週の「座頭市地獄旅」で出てきた故・成田三樹夫さんの話。

私が成田三樹夫さんを初めてテレビで見たのは小学生の頃、「ザ・ガードマン」でだったと思う。

一度見たら忘れられないような、見ているだけで気が滅入ってしまうような冷酷な感じのする悪役だった。

その後、テレビで観た勝新太郎主演の大映映画「兵隊やくざ」でも冷酷非道な憲兵役をやっていた。

あの嫌な感じのする悪役の俳優は成田三樹夫という名前なんだ、と小学校の高学年の時には覚えていた。今から考えれば、子供でも名前を認識するほどインパクトが強烈な脇役だったことになる。

その後、成田三樹夫さんがヤクザ映画などに多く出演していることは知っていたが特に興味はなかった。というかイメージは悪かった。

ところが大学時代、NHK杯将棋トーナメントを数年振りに見てみると、なんと聞き手が成田三樹夫さんだった。

(私は中学時代に勉強がおろそかになるほど将棋に夢中になり、第一志望の高校を落ちてからというもの、将棋から遠ざかっていた)

この時の驚きはかなりなものだった。

最もNHK教育らしくないイメージの俳優が日曜午前のNHK教育に出演している。なおかつ将棋…

ちょうどこの頃と前後してか、成田三樹夫さんは東映映画「柳生一族の陰謀」の烏丸少将の怪演や日本テレビ「探偵物語」の刑事役で話題になりはじめていた。

NHK杯の聞き手をやっていたことが影響したのか、私が大人になったからか、烏丸少将が良かったのか、深層心理では昔からだったかは分からないが、社会人になった時には成田三樹夫ファンになっていた。

成田三樹夫さんは1990年に亡くなっているが、私が更に成田三樹夫ファンになったのは1997年から。

広島の親分」を書くきっかけとなった1997年の広島行き以降、関連する様々なことを調べてみようと思い、東映映画「仁義なき戦い」シリーズを全作観た。

菅原文太、金子信雄、小林旭、松方弘樹、梅宮辰夫などの個性派の中でも、唯一無二の独特な雰囲気を醸し出していたのが成田三樹夫さん。

この存在感はヤクザ映画に不可欠だと思った。

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成田三樹夫さんは1935年山形県酒田市出身。

趣味は将棋と俳句。

数学に非常に興味があって東京大学理学部に入学するが半年で退学。一浪後、山形大学人文学部英文学科に入学するが、ここは3年強で退学。

24歳になって俳優座養成所に入所、28歳に大映と専属契約を結ぶ。

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1978年の映画雑誌のインタビューで成田三樹夫さんは将棋について少し語っている。

「将棋?うん、強いよ。親父が四段だったんでね。将棋盤や駒がウチの中にゴロゴロしてたんで、子供のころからね、駒をヤマにして指ではじいたりとか、遊んでいたしね。だから小学校時代から指していることは指しているんです。強くなったのは最近ですよ。いま三段くらいでしょうね。精一杯指したら四段くらい指すかな」

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