「将棋雑文」カテゴリーアーカイブ

ニコニコ生放送の将棋番組の来場者数から現在を読み解く試み

最近、ぼんやりと次のようなことが気になっていた。

  • 藤井聡太四段の活躍に端を発する将棋ブーム、そのインパクトが数値的にどれほどの好影響を与えているのか。
  • AbemaTV将棋チャンネルの出現によって、ニコニコ生放送の将棋番組の来場者数は影響を受けているのかいないのか。

そこで、ニコニコ生放送の将棋番組の来場者数から、その2つを調べてみることにした。

あわせて、ニコニコ生放送の将棋番組の来場者数の推移から、何か見えてくるものがあるのかないのかも。

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ニコニコ生放送で過去に中継された対局(2017年9月14日まで)の来場者数を多い順に並べてみた。(ニコ生の検索機能から抽出)

来場数 放送日 棋戦
888,183 2017-07-02 第30期竜王戦 佐々木勇気五段 vs 藤井聡太四段 決勝トーナメント 2回戦
788,842 2014-04-12 第3回 将棋電王戦 第5局 屋敷伸之九段 vs ponanza
663,051 2013-04-20 第2回 将棋電王戦 第5局 三浦弘行八段 vs GPS将棋
655,338 2014-07-19 将棋電王戦リベンジマッチ 激闘23時間 菅井竜也五段 vs 習甦
625,639 2013-04-06 第2回 将棋電王戦 第3局 船江恒平五段 vs ツツカナ
591,850 2014-04-05 第3回 将棋電王戦 第4局 森下卓九段 vs ツツカナ
579,605 2015-03-28 将棋電王戦FINAL 第3局 稲葉陽七段 vs やねうら王
575,786 2017-09-08 第30期竜王戦 挑戦者決定三番勝負 第3局 羽生善治二冠 vs 松尾歩八段
560,595 2013-03-30 第2回 将棋電王戦 第2局 佐藤慎一四段 vs ponanza
546,304 2017-06-26 第30期竜王戦 決勝トーナメント 増田康宏四段 vs 藤井聡太四段
527,621 2015-02-08 電王戦×TOYOTA リアル車将棋
513,371 2013-04-13 第2回 将棋電王戦 第4局 塚田泰明九段 vs Puella α
501,894 2015-04-11 将棋電王戦FINAL 第5局 阿久津主税八段 vs AWAKE
500,634 2015-03-21 将棋電王戦FINAL 第2局 永瀬拓矢六段 vs Selene
459,552 2017-08-14 第30期竜王戦 挑戦者決定三番勝負 第1局 羽生善治三冠 vs 松尾歩八段
424,495 2014-12-31 将棋電王戦リベンジマッチ 森下卓九段 vs ツツカナ
408,813 2012-01-14 第1回将棋電王戦 米長邦雄永世棋聖 vs ボンクラーズ
405,760 2015-03-14 将棋電王戦FINAL 第1局 斎藤慎太郎五段 vs Apery
392,583 2014-03-22 第3回 将棋電王戦 第2局 佐藤紳哉六段 vs やねうら王
389,321 2012-10-03 将棋 第60期王座戦 五番勝負第4局 渡辺明王座 vs 羽生善治二冠
377,278 2017-02-13 【三浦九段復帰戦】第30期竜王戦 1組ランキング戦 羽生善治三冠 vs 三浦弘行九段
376,393 2014-03-15 第3回 将棋電王戦 第1局 菅井竜也五段 vs 習甦
374,404 2014-04-09 将棋 第72期名人戦七番勝負 第1局 2日目 森内俊之名人vs羽生善治三冠
373,749 2013-03-23 第2回 将棋電王戦 第1局 阿部光瑠四段 vs 習甦
367,419 2012-05-09 ネット初!完全生中継【将棋】第70期名人戦七番勝負第3局(2日目)森内俊之名人vs羽生善治二冠
366,465 2017-04-01 第2期電王戦 二番勝負 第1局 佐藤天彦叡王 vs PONANZA
365,644 2015-04-04 将棋電王戦FINAL 第4局 村山慈明七段 vs ponanza
364,571 2013-09-18 将棋 第61期王座戦 五番勝負第2局 羽生善治王座 vs 中村太地六段
346,296 2013-03-01 将棋 第71期名人戦・A級順位戦最終日 全局生中継
344,490 2014-03-29 第3回 将棋電王戦 第3局 豊島将之七段 vs YSS
340,167 2014-05-21 将棋 第72期名人戦七番勝負 第4局・2日目 森内俊之名人vs羽生善治三冠
329,403 2012-05-23 ネット初!完全生中継【将棋】第70期名人戦七番勝負第4局(2日目)森内俊之名人vs羽生善治二冠
314,621 2017-06-10 【将棋】第3期叡王戦 開幕局 四段予選 梶浦・都成・井出・藤井(聡)
309,957 2012-04-11 ネット初!完全生中継【将棋】第70期名人戦七番勝負第1局(2日目)森内俊之名人vs羽生善治二冠
307,774 2015-05-29 【将棋】第73期名人戦七番勝負 第5局 2日目 羽生善治名人 vs 行方尚史八段
306,393 2013-10-08 将棋 第61期王座戦 五番勝負第4局 羽生善治王座 vs 中村太地六段
305,153 2016-02-27 将棋 第74期A級順位戦最終局 全局完全生中継
301,111 2015-05-21 【将棋】第73期名人戦七番勝負 第4局 2日目 羽生善治名人 vs 行方尚史八段
300,816 2016-04-23 【将棋】第74期名人戦七番勝負 第2局 2日目 羽生善治名人 vs 佐藤天彦八段
299,629 2012-06-13 ネット初!完全生中継【将棋】第70期名人戦七番勝負第6局(2日目)森内俊之名人vs羽生善治二冠
295,310 2014-10-23 将棋 第62期王座戦五番勝負第5局 羽生善治王座 vs 豊島将之七段
294,331 2012-04-25 ネット初!完全生中継【将棋】第70期名人戦七番勝負第2局(2日目)森内俊之名人vs羽生善治二冠
288,889 2013-08-31 将棋 電王戦タッグマッチ 完全生中継
288,746 2012-06-01 ネット初!完全生中継【将棋】第70期名人戦七番勝負第5局(2日目)森内俊之名人vs羽生善治二冠
281,183 2017-07-06 【将棋】第76期順位戦 C級2組 中田功七段vs藤井聡太四段
275,344 2017-05-20 第2期電王戦 二番勝負 第2局 佐藤天彦叡王 vs PONANZA
269,689 2016-05-22 第1期電王戦 二番勝負 第2局 二日目 山崎隆之叡王 vs PONANZA
268,102 2013-12-31 電王戦リベンジマッチ 船江恒平五段 vs ツツカナ
266,053 2014-06-02 将棋 第85期棋聖戦 五番勝負第1局 羽生善治棋聖 vs 森内俊之竜王
265,116 2015-12-06 【将棋】第1期叡王戦 決勝三番勝負 第1局 郷田真隆九段 vs 山崎隆之八段【ニコルン対応】
264,592 2012-08-29 将棋 第60期王座戦 五番勝負第1局 渡辺明王座 vs 羽生善治二冠 完全生中継
259,380 2013-07-06 将棋 第84期棋聖戦 五番勝負第3局 羽生善治棋聖 vs 渡辺明竜王
254,559 2016-04-10 第1期電王戦 二番勝負 第1局 二日目 山崎隆之叡王 vs PONANZA
254,405 2013-09-04 将棋 第61期王座戦五番勝負第1局 羽生善治王座 vs 中村太地六段
247,101 2013-06-22 将棋 第84期棋聖戦 五番勝負第2局 羽生善治棋聖 vs 渡辺明竜王
246,944 2013-04-10 将棋 第71期名人戦七番勝負 第1局・二日目 森内俊之名人vs羽生善治三冠
244,952 2017-08-25 第30期竜王戦 挑戦者決定三番勝負 第2局 羽生善治三冠 vs 松尾歩八段
243,300 2017-06-15 【将棋】第76期順位戦 C級2組 瀬川晶司五段 vs 藤井聡太四段
243,249 2015-12-13 【将棋】第1期叡王戦 決勝三番勝負 第2局 郷田真隆九段 vs 山崎隆之八段【ニコルン対応】
240,953 2016-04-06 【将棋】第74期名人戦七番勝負 第1局 2日目 羽生善治名人 vs 佐藤天彦八段
240,612 2012-09-05 将棋 第60期王座戦 五番勝負第2局 渡辺明王座 vs 羽生善治二冠 完全生中継
235,316 2014-03-27 将棋 第63期王将戦 七番勝負 第7局(二日目)渡辺明王将 vs 羽生善治三冠 完全生中継
235,174 2013-10-21 将棋 第61期王座戦 五番勝負第5局 羽生善治王座 vs 中村太地六段
232,400 2014-01-13 将棋 第63期王将戦 七番勝負 第1局(二日目)渡辺明王将 vs 羽生善治三冠 完全生中継
231,788 2014-09-04 将棋 第62期王座戦五番勝負第1局 羽生善治王座 vs 豊島将之七段
230,370 2016-12-24 第30期竜王戦6組ランキング戦 加藤一二三九段 vs 藤井聡太四段
227,812 2014-05-09 将棋 第72期名人戦七番勝負 第3局・2日目 森内俊之名人vs羽生善治三冠
225,090 2013-03-24 将棋 第38期棋王戦 五番勝負第4局 郷田真隆棋王 vs 渡辺明竜王

ニコ生の三大人気コンテンツはアニメ、政治、将棋と言われるが、将棋は、政治、アニメには当然のことながら放送本数では及ばないものの、番組あたりの来場者数では引けを取らない。

生データから編集をするのに疲れて、トップ68で止めてしまったが、来場者数20万を超える番組だけでも、あと20は続く。

トップ68の内訳は、非常に乱暴な分類だが、

  • 羽生善治二冠の対局:32
  • 人間対コンピュータの電王戦:24
  • 藤井聡太四段の対局:6
  • A級順位戦最終日 全局生中継:2
  • 第1期叡王戦 決勝三番勝負 郷田真隆九段 vs 山崎隆之八段:2
  • 第38期棋王戦 五番勝負第4局 郷田真隆棋王 vs 渡辺明竜王:1
  • リアル車将棋:1

放送年別では、(括弧内は人間対人間の対局)

2012年 10(9)
2013年 16(8)
2014年 15(8)
2015年 10(5)
2016年 6(4)
2017年 11(9)

2016年のトップ68入りが少ないのは、電王戦の団体戦(5人対5ソフト)がなくなったため。

2017年のトップ68入りの数値が復活しているのは、藤井聡太四段の対局の貢献度が大きい。

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1.電王戦来場者数の時系列分析

はじめに、電王戦について来場者数の推移を見てみたい。

電王戦は、新しい将棋ファン層の拡大に非常に大きな役割を果たしている。

人間対コンピュータソフトの図式の電王戦の来場者数は次の通り。

来場数 放送日 棋戦
408,813 2012-01-14 第1回将棋電王戦 米長邦雄永世棋聖 vs ボンクラーズ
373,749 2013-03-23 第2回 将棋電王戦 第1局 阿部光瑠四段 vs 習甦
560,595 2013-03-30 第2回 将棋電王戦 第2局 佐藤慎一四段 vs ponanza
625,639 2013-04-06 第2回 将棋電王戦 第3局 船江恒平五段 vs ツツカナ
513,371 2013-04-13 第2回 将棋電王戦 第4局 塚田泰明九段 vs Puella α
663,051 2013-04-20 第2回 将棋電王戦 第5局 三浦弘行八段 vs GPS将棋
288,889 2013-08-31 将棋 電王戦タッグマッチ 完全生中継
268,102 2013-12-31 電王戦リベンジマッチ 船江恒平五段 vs ツツカナ
376,393 2014-03-15 第3回 将棋電王戦 第1局 菅井竜也五段 vs 習甦
392,583 2014-03-22 第3回 将棋電王戦 第2局 佐藤紳哉六段 vs やねうら王
344,490 2014-03-29 第3回 将棋電王戦 第3局 豊島将之七段 vs YSS
591,850 2014-04-05 第3回 将棋電王戦 第4局 森下卓九段 vs ツツカナ
788,842 2014-04-12 第3回 将棋電王戦 第5局 屋敷伸之九段 vs ponanza
655,338 2014-07-19 将棋電王戦リベンジマッチ 激闘23時間 菅井竜也五段 vs 習甦
424,495 2014-12-31 将棋電王戦リベンジマッチ 森下卓九段 vs ツツカナ
527,621 2015-02-08 電王戦×TOYOTA リアル車将棋
405,760 2015-03-14 将棋電王戦FINAL 第1局 斎藤慎太郎五段 vs Apery
500,634 2015-03-21 将棋電王戦FINAL 第2局 永瀬拓矢六段 vs Selene
579,605 2015-03-28 将棋電王戦FINAL 第3局 稲葉陽七段 vs やねうら王
365,644 2015-04-04 将棋電王戦FINAL 第4局 村山慈明七段 vs ponanza
501,894 2015-04-11 将棋電王戦FINAL 第5局 阿久津主税八段 vs AWAKE
212,688 2016-04-09 第1期電王戦 二番勝負 第1局 一日目 山崎隆之叡王 vs PONANZA
254,559 2016-04-10 第1期電王戦 二番勝負 第1局 二日目 山崎隆之叡王 vs PONANZA
191,224 2016-05-21 第1期電王戦 二番勝負 第2局 一日目 山崎隆之叡王 vs PONANZA
269,689 2016-05-22 第1期電王戦 二番勝負 第2局 二日目 山崎隆之叡王 vs PONANZA
366,465 2017-04-01 第2期電王戦 二番勝負 第1局 佐藤天彦叡王 vs PONANZA
275,344 2017-05-20 第2期電王戦 二番勝負 第2局 佐藤天彦叡王 vs PONANZA

電王戦の団体戦(5人対5ソフト)の放送年別の1番組あたりの来場者数平均を計算すると、

第2回電王戦(2013年)547,281
第3回電王戦(2014年)498,832(前年比91.1%)
電王戦FINAL(2015年)470,707(前年比94.4%)

放送時間の長さや、ニコ生が同時接続制限人数(無料会員が追い出されずに見ることができる枠のようなもの)をどのように設定するかで来場者数は微妙に変わるので、単純に比較はできないかもしれないが、数字だけを入れば、5対5の初年の2013年をピークに漸減傾向だったことがわかる。

2016年からは、5人対5ソフトではなく、叡王対ソフトという形態になる。

しかし、電王戦FINALが終わった2015年4月から第1期電王戦 二番勝負〔山崎隆之叡王 vs PONANZA〕までの間に何があったのか、

第1期第1局二日目(山崎叡王-PONANZA)254,559
第1期第2局二日目(山崎叡王-PONANZA)269,689
第2期第1局(佐藤叡王-PONANZA)366,465
第2期第2局(佐藤叡王-PONANZA)275,344

と、激減している。

大将戦にあたる2014年の第3回 将棋電王戦 第5局 屋敷伸之九段 vs ponanzaの78.9万、2013年の第2回 将棋電王戦 第5局 三浦弘行八段 vs GPS将棋の66.3万と比べると半減の数値。

ニコ生の同時接続制限人数(無料会員が追い出されずに見ることができる枠のようなもの)が2015年以前と2016年からで大幅に変わった可能性もあって単純に来場数を比較することはできないが、人間対コンピュータソフトに対する興味は薄れてきた、という傾向は現れていると思う。

ところで、2016年と2017年の電王戦の前に行われた叡王戦決勝三番勝負の来場者数も見ておきたい。

第1期叡王戦決勝第1局(郷田王将-山崎八段)265,128
第1期叡王戦決勝第2局(郷田王将-山崎八段)243,249
第2期叡王戦決勝第1局(佐藤名人-千田五段)217,662
第2期叡王戦決勝第2局(佐藤名人-千田五段)195,066

特に第1期の時は叡王戦決勝と電王戦がほぼ変わらない来場者数で、第2期も相当に多い来場者数。

ニコ生ユーザの、人間対コンピュータソフトから人間対人間の対局への興味のシフトが2016年に起きたと言っても良いだろう。

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2.AbemaTV将棋チャンネルの出現によるニコ生への影響

AbemaTV将棋チャンネルの出現によって、ニコニコ生放送の将棋番組の来場者数は影響を受けているのかいないのかを見てみたい。

まずは名人戦。今期の名人戦は、ニコ生、AbemaTV、双方で放送している。

ニコ生だけが放送していた2015年・2016年と今年2017年を比較すると、

第73期名人戦七番勝負 羽生善治名人 vs 行方尚史八段
2015/04/08(水) 第1局 初日 120,885
2015/04/09(木) 第1局 2日目 155,760
2015/04/22(水) 第2局 初日 121,067
2015/04/23(木) 第2局 2日目 220,170
2015/05/07(木) 第3局 初日 110,739
2015/05/08(金) 第3局 2日目 212,788
2015/05/20(水) 第4局 初日 113,335
2015/05/21(木) 第4局 2日目 301,111
2015/05/28(木) 第5局 初日 121,731
2015/05/29(金) 第5局 2日目 307,774

第74期名人戦七番勝負 羽生善治名人 vs 佐藤天彦八段
2016/04/05(火) 第1局 初日 114,228
2016/04/06(水) 第1局 2日目 240,953
2016/04/22(金) 第2局 初日 102,777
2016/04/23(土) 第2局 2日目 300,816
2016/05/12(木) 第3局 初日 98,472
2016/05/13(金) 第3局 2日目 170,246
2016/05/25(水) 第4局 初日 108,648
2016/05/26(木) 第4局 2日目 185,337
2016/05/30(月) 第5局 初日 111,004
2016/05/31(火) 第5局 2日目 224,434

第75期名人戦 七番勝負 佐藤天彦名人 vs 稲葉陽八段
2017/04/06(木) 第1局 初日 90,765
2017/04/07(金) 第1局 2日目 84,548
2017/04/20(木) 第2局 初日 71,182
2017/04/21(金) 第2局 2日目 82,180
2017/05/01(月) 第3局 初日 76,997
2017/05/02(火) 第3局 2日目 118,305
2017/05/16(火) 第4局 初日 78,789
2017/05/17(水) 第4局 2日目 102,553
2017/05/26(金) 第5局 初日 91,639
2017/05/27(土) 第5局 2日目 156,922
2017/06/05(月) 第6局 初日 75,826
2017/06/06(火) 第6局 2日目 125,079

1番組あたりの来場者数平均を計算すると、

2015年 178,536
2016年 165,691(前年比:92.8%)
2017年 96,232(前年比:58.1%)

羽生善治二冠が出ていない名人戦という影響もあるのかもしれないが、対前年比58.1%と、これほど落ち込んだのはAbemaTV将棋チャンネルの出現による影響と考える方が自然だろう。

かなり大きい。

しかし、これは今年の6月初旬までのこと。

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3.藤井聡太四段に端を発する将棋ブームによるインパクト

ニコ生の将棋関連の放送での来場者数1位は、今年の7月2日(日)の第30期竜王戦 決勝トーナメント 2回戦 佐々木勇気五段 vs 藤井聡太四段で、88.8万の来場者数。藤井聡太四段の連勝記録が止まった一局。

藤井聡太四段が29連勝の新記録を達成した6月26日(月)の第30期竜王戦 決勝トーナメント 増田康宏四段 vs 藤井聡太四段が54.6万で、人間対人間の対局としては3位。

この2局とも、ほとんどが有料会員、AbemaTVでもこの対局を放送していた、ということを考えると、非常に凄い来場数だったことがわかる。

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本来であれば29連勝の新記録を達成できるかどうかの一戦の方が訪問数が多くなるのが自然に思えるが、29連勝を達成した直後の30連勝なるかどうかの一戦の方の訪問数が多い。

月曜日放送と日曜日放送の違い、29連勝を達成してそれで注目度が更に増した、などの理由があるのかもしれない。

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藤井聡太四段の対局の来場数は、時系列で次の通り。

2016/12/24(土) 230,370
竜王戦6組ランキング戦 対加藤一二三九段

2017/05/25(木) 128,480
竜王戦6組ランキング戦決勝 対近藤誠也五段

2017/06/10(土) 314,684
第3期叡王戦 開幕局 四段予選

2017/06/15(木) 243,300
順位戦 C級2組 対瀬川晶司五段

2017/06/26(月) 546,304
竜王戦 決勝トーナメント 対増田康宏四段

2017/07/02(日) 888,183
竜王戦 決勝トーナメント 対佐々木勇気五段

2017/07/06(木) 281,183
順位戦 C級2組 対中田功七段

2017/07/11(火) 74,345
加古川青流戦 対都成竜馬四段

2017/07/24 76,711
棋聖戦 一次予選

2017/08/10 121,187
順位戦 C級2組 対高見泰地五段

2017/09/02(土) 56,817
加古川青流戦 対井出隼平四段

2017/09/07(木) 90,674
新人王戦 対佐々木大地四段

2017/09/14(木) 132,910
順位戦 C級2組 対佐藤慎一五段

対局時間の短い対局(加古川青流戦)は訪問数が相対的に少なくなるが、ニコ生での本格的なフィーバーは6月初旬から始まったことがわかる。

現在はフィーバーも落ち着き、順位戦で12~13万の訪問数。ピーク時より減ったとはいえ、かなりの訪問数。

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そういった意味では、9月8日(金)の第30期竜王戦 挑戦者決定三番勝負 第3局 羽生善治二冠 vs 松尾歩八段の57.6万は非常に素晴らしい数字。

AbemaTVでは放送されていなかったとはいえ、平日、ほとんどが有料会員での57.6万。人間対人間の対局としては2位。

竜王戦 挑戦者決定三番勝負は8月14日(月)の第1局が45.9万、8月25日(金)の第2局が24.5万。

羽生永世七冠実現を期待するファンの気持ちが訪問者数に現れたとも考えられるが、それにしても57.6万は凄い数字だ。

藤井聡太四段の活躍に端を発する将棋ブームの追い風、そのインパクトが57.6万のうち、どれほど含まれているのか。

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ニコ生での本格的な藤井聡太四段フィーバーが始まった6月初旬以降に放送された棋聖戦の訪問者数を見てみたい。

今年の棋聖戦は、ニコ生、AbemaTV、双方で放送している。

第86期棋聖戦 羽生善治棋聖 vs 豊島将之七段
2015/06/02(火) 第1局 171,982
2015/06/16(火) 第2局 152,670
2015/07/04(土) 第3局 161,090
2015/07/15(水) 第4局 155,447

第87期棋聖戦 羽生善治棋聖 vs 永瀬拓矢六段
2016/06/03(金) 第1局  206,493 永瀬六段勝ち
2016/06/18(土) 第2局  149,292 羽生棋聖勝ち
2016/07/02(土) 第3局 161,121 永瀬六段勝ち
2016/07/13(水) 第4局 108,474  羽生棋聖勝ち
2016/08/01(月) 第5局 141,152  羽生棋聖勝ち

第88期棋聖戦 羽生善治棋聖 vs 斎藤慎太郎七段
2017/06/01(木) 第1局 110,613 羽生棋聖勝ち
2017/06/17(土) 第2局 140,196 羽生棋聖勝ち
2017/07/01(土) 第3局 162,801 斎藤七段勝ち
2017/07/11(火) 第4局 132,698 羽生棋聖勝ち

1番組あたりの来場者数平均を計算すると、

2015 160,297
2016 153,306(前年比:95.6%)
2017 136,576(前年比:89.1%)

名人戦では前年比58.1%だったものが、棋聖戦では前年比89.1%。

藤井聡太四段フィーバーがなければ棋聖戦も前年比58.1%になっていたはず、と乱暴に考えて計算すると、約30%分(89.1%-58.1%)が将棋ブームによる増加分と考えられる。

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王位戦はニコ生では放送されていないが、王座戦を最後に見てみたい。王座戦もニコ生、AbemaTV、双方で放送している。

今年の王座戦は第1局までしか放送されていないので昨年の王座戦第1局と比較してみる。

第64期王座戦五番勝負 羽生善治王座 vs 糸谷哲郎八段
2016/09/06(火) 第1局 136,629

第65期王座戦五番勝負  羽生善治王座 vs 中村太地六段
2017/09/05(火) 第1局 167,215

なんと王座戦第1局では前年を上回り、前年比122.4%。

AbemaTVも放送しているのに、ニコ生が前年を上回る来場者数という理想的な状況。

ニコ生とAbemaTVを合計した王座戦第1局の来場者数は、前年に比べ倍以上になっているかもしれない。

たしかに、藤井聡太四段フィーバーは落ち着いたが、藤井聡太四段をきっかけに将棋ファンになった方が他の棋士のファンにもなり、その好循環が続くとすれば本当に素晴らしいことだと思う。

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そういうわけで、私がぼんやりと気にしていた、

  • 藤井聡太四段の活躍に端を発する将棋ブーム、そのインパクトが数値的にどれほどの好影響を与えているのか。
  • AbemaTV将棋チャンネルの出現によって、ニコニコ生放送の将棋番組の来場者数は影響を受けているのかいないのか。

は、

  • かなり大きい。非常に乱暴な計算で約30%の浮揚効果。
  • 6月初旬まで行われていた名人戦は来場者数の面でかなり影響を受けていたと思われるが、6月初旬以降の棋聖戦以降はマイナスの影響が少なくなりつつあると思われる。

が今日現在の私の中での分析ということになります。

 

 

羽生善治二冠は仙台と相性が悪いのかどうかの検証

昨日行われた王座戦五番勝負第1局は、羽生善治王座が中盤で優勢となり、終盤では勝勢の場面が何度もあって、ネット中継では「熱戦に終止符が打たれようとしている」と書かれた局面があったほど。

しかし、中村太地六段の驚異的な粘りに羽生二冠が誤り、185手で中村太地六段の勝ちとなった。

一局を通しては、互いに何度か勝ち筋を逃していたということだが、感想戦での検討で、投了図で羽生王座が△2三桂と受けていれば千日手になっていたという結論。

ニコニコ生放送で、屋敷伸之九段も解説していたが、対局開始後14時間経った時点での1分将棋では見つけるのが困難だったのだろう。

王座戦第1局中継

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今日の本題はここからで、私が気になったのは羽生二冠が仙台市で行われた対局での勝率が非常に悪いのではないかということ。

仙台市出身の私としては、どうしても申し訳ないという気持ちになってしまう。

玲瓏:羽生善治 (棋士)データベース」で調べて見ると、羽生二冠の仙台市での対局は昨日の敗局も含めて3勝6敗で、勝率は0.333。

2017/9/5 王座戦第1局 中村太地六段 ●
2015/10/6 王座戦第1局 佐藤天彦八段 ○
2014/9/30 王座戦第3局 豊島将之七段 ●
2013/9/4 王座戦第1局 中村太地六段 ●
2012/8/29 王座戦第1局 渡辺明王座 ●
2006/4/19 朝日OP第2局 藤井猛九段 ●
2000/2/20 棋王戦第2局 森内俊之八段 ●
2000/2/8 王将戦第4局 佐藤康光名人 ○
1998/2/24 棋王戦第2局 郷田真隆六段 ○

5局以上対局している都道府県で羽生二冠の勝率が悪いのは、

山梨県 2勝3敗(0.400)
和歌山県 2勝4敗(0.333)

もあるが、今世紀に入ってからの羽生二冠の仙台市(宮城県で行われた対局の全てが仙台市)での戦績は1勝5敗(0.167)。

やはり、羽生二冠にとっては勝率的に日本で一番相性の良くないのが仙台市(宮城県)であるという結論になってしまう。

対局時の昼食、夕食も見てみたい。(将棋棋士の食事とおやつのデータ)

〔仙台ロイヤルパークホテル〕
2017年王座戦第1局 シーフードピラフ、おにぎり ●
2015年王座戦第1局 シーフードピラフ、ミックスサンド ○
2013年王座戦第1局 海鮮焼きそば、ミックスサンドイッチ ●

〔茶寮宗園〕
2014年王座戦第3局 親子丼、おにぎりセット ●

〔ホテルメトロポリタン仙台〕
2012年王座戦第1局 特製牛タンシチュー、海鮮焼きそば ●

食事については特に傾向は見られない。

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しかし、冷静になってデータを見てみると、

  • 羽生二冠が仙台市で敗れたタイトル戦(朝日オープンを含む)では、全て防衛または奪取、優勝している
  • 仙台市で勝ったタイトル戦では全て防衛

の2つの事実が判明した。

そういう意味では、羽生二冠と仙台市の相性は大局的には悪くないという結論になると考えられる。

この結論が覆されるか、やはり鉄壁の結論なのか、今期の王座戦五番勝負を見守りたい。

 

 

大内延介九段お別れの会

昨日の午後、日本将棋連盟で行われた「大内延介九段お別れの会」へ参列をしてきた。

非常に多くの方が来られていた。

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受付は1階の入り口を入ったところ。

会場は4階。

4階でエレベータを降りると、佐藤康光会長、森内俊之専務理事、鈴木大介常務理事をはじめとする方々の立礼。

心の準備ができていなかったので、非常に恐縮してしまう。

会場の誘導は葬儀社の複数のスタッフで、非常に手際がいい。

驚いたのは、4階の廊下、対局室の畳の上に厚い保護マットが敷かれ、靴を履いたまま入場できるようになっていたこと。この辺も葬儀社が長年かけて蓄積してきたノウハウなのだろう。

はじめに控え室(桂の間)へ案内される。

椅子が40席ほどあって、控え室の人数が30~40人ほどになったら会場(高雄 ・棋峰 ・雲鶴)へ移ってお別れの会が行われるというシステム。

多くの人が絶え間なく来ていたので、この日だけで何回繰り返されたことだろう。

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高雄 ・棋峰 ・雲鶴は、ここが対局室、とは思えないほど、完璧な「お別れの会」の会場となっていた。

祭壇には、大内延介九段の写真、花、そして7月17日付で日本棋院から贈られた囲碁の八段の免状が飾られていた。

司会は日本将棋連盟の小泉勝巳さん。

私が大内延介九段と初めてお会いしたのは1995年7月のことだった。当時の大内九段は渉外などを担当する専務理事。

仕事でのお付き合いだったが、その時の職員担当者が小泉さんだった。

大内九段と小泉さんと一緒に打ち合わせをしたことが何度かあった。

大内九段の遺影と小泉さんの顔を同時に視界に入れながら、21~22年前のことを思い出しているうちに、とても感傷的な気持ちになってきた。

そして、大内一門を代表して、飯田弘之七段からのあいさつ。

大内九段は癌で、今年に入って抗がん剤治療を行っていたという。

A級から一度陥落して再度A級への復帰を賭けた対石田和雄七段戦の死闘、穴熊、豪快な寄せ、今年になって大内九段と一緒に山へ行ったことなど、飯田七段は師匠の思い出話を語ってくれた。

大内九段が亡くなったということが実感として迫ってきて、寂しさが増幅してきた。

一人一人が祭壇に献花をして、「お別れの会」は終了した。

大内先生、ありがとうございました。

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将棋会館に到着したのは16:30頃。受付をする前に喫煙所へ行くと、写真家の弦巻勝さんがいた。

一番最後にお会いしたのが中野の酒場だったから、10年振り以上ということになる。

弦巻さんは10年前と外見が変わっていない。短い時間だったが、とても楽しい会話だった。

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「お別れの会」への参列を終え、将棋会館を出て少し歩くと、向こうから将棋会館へ向かってくる見覚えのある顔が。

三浦弘行九段だった。

三浦九段に会うのは、昨年9月の将棋ペンクラブ大賞贈呈式のとき以来。

私「どうも、どうも」

三浦九段「やあ、どうも」

三浦九段「今、会場は混んでいますか?」

私「それほどでもありません」

私「4階の対局室が、想像もできないくらい変わっていますよ。もう、全くの「お別れの会」仕様になっています」

三浦九段「そうなんですね、それでは、また今度ゆっくり」

私「はい、また今度」

そして、三浦九段は数歩歩いたところで、「ご心配をおかけしてすみませんでした」と言って私の方に振り返った。

私なんかに言わなくたっていいのに、と涙が出そうになった。

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ふと考えると、家を出る1時間半ほど前に、twitterで次のような投稿をしていた。

弦巻勝さんと三浦弘行九段、偶然とはいえ、嬉しい展開だ。

 

 

 

 

竜王戦決勝トーナメント 佐々木勇気五段-藤井聡太四段戦の食事を予想する〔両対局者の対局時の食事傾向の分析〕

今日は、第30期竜王戦決勝トーナメント 佐々木勇気五段-藤井聡太四段戦が行われる。→中継

藤井聡太四段が30連勝と連勝記録を伸ばすか、佐々木勇気五段が藤井聡太四段の連勝を阻むかの注目の一戦。

今日は、両対局者の対局時の食事の傾向の分析、および本日の対局の昼食・夕食の予想をしてみたい。(食事データは「将棋棋士の食事とおやつ」による)

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1.藤井聡太四段の対局時の食事の傾向

藤井聡太四段のこれまでの対局時の注文メニューは次の通り。

=昼食=
(千駄ヶ谷)
「みろく庵」豚キムチうどん
「みろく庵」みそ煮込みうどん
「紫金飯店」五目焼きそば
「ほそ島や」カレーライス
「ほそ島や」つけとろろそば
(福島)
「イレブン」珍豚美人
「イレブン」サービスランチ(えびフライとクリームコロッケの盛り合わせ)
「小雀弥」うどん定食(特製玉子かけごはん)
「小雀弥」ぶっかけそば
「小雀弥」黒毛和牛カレーうどん
汁なし担々麺
肉ぶっかけそば
天もりそば
カレー定食(うどん)
天丼
=夕食=
(千駄ヶ谷)
「みろく庵」肉豆腐定食
「みろく庵」若鶏唐揚げ定食
「紫金飯店」玉子炒飯
「紫金飯店」わんたんめん(五目炒飯は売切だった)
「ほそ島や」チャーシューメン
(福島)
肉なん定食(うどん)


それぞれ注文は1回ずつ。

つまり、藤井聡太四段は毎回違ったメニューを注文しているということで、これは、「いろいろなメニューを試して、その中から好みのメニューを探し出している過程」である可能性が高いと思われる。

そうだとすると、今日の対局でも、今まで頼んだことのない新しいメニューが注文されると考えるべきだろう。

藤井聡太四段の注文傾向は、

  • 昼食は麺類である確率が高い(麺類確率73.3%、東京での対局時の昼食では麺類確率80%)
  • 東京での対局の夕食はご飯系の確率が高くなる(東京での対局時の夕食ではご飯系60~80%)

2.佐々木勇気五段の対局時の食事の傾向

佐々木勇気五段の2017年の対局時の注文メニューは次の通り。(「将棋棋士の食事とおやつ」に記載のあるデータだけで集計)

=昼食=
(千駄ヶ谷)
「みろく庵」の肉豆腐定食(もち入り) 3回
「みろく庵」のおでん定食(ごはん抜き)、もち
「とんかつふじもと」のヒレカツ定食ライト 3回
「とんかつふじもと」のヒレカツ定食
「ふじもと」のうな重(竹) 2回
「ほそ島や」の力うどん
(福島)
親子丼(温うどん付)
きつねそば(もち入り)
きつねそば
=夕食=
(千駄ヶ谷)
「みろく庵」の肉豆腐定食(もち入り)
「ふじもと」のうな重(竹)
(福島)
「イレブン」のカニクリームコロッケ


佐々木勇気五段はメニューが集中しており、東京での対局の主力メニューは、肉豆腐定食(もち入り)、ヒレカツ定食ライト、うな重(竹)、大阪での対局の主力メニューは親子丼、きつねそば、であることが分かる。

過去には、「みろく庵」の肉南蛮うどん、「ほそ島や」の肉南蛮うどん、を頼んでいた時期もあった。

限られたサンプル数なのでメニュー別勝率は精緻に集計していないが、肉豆腐定食(もち入り)での勝率の方がヒレカツ定食ライトよりも良い。

佐々木勇気五段の注文傾向は、

  • 「みろく庵」の肉豆腐定食(もち入り)、「とんかつふじもと」のヒレカツ定食ライト、「ふじもと」のうな重(竹) 、が東京での対局の三本柱。
  • 麺類、ご飯系を問わず、餅をトッピングすることが多い。

3.本日の対局の食事予想

今日は日曜日。東京将棋会館への出前を行っている各店の休みは次の通り。

みろく庵 年末年始
ほそ島や 日・祝日
ふじもと 日曜日・祝日不定休
とんかつのふじもと 日・祝日
紫金飯店 日曜日・祝日
千寿司 日曜日・祝日

そういうわけで、各店が特別に店を開けていない限り、出前をしてくれるのは「みろく庵」だけということになる。

佐々木勇気五段は、鉄板メニューの肉豆腐定食(もち入り)はほぼ確実なところ。もう一品が何になるか。

藤井聡太四段は、今まで頼んだことのない「みろく庵」のメニュー。

予想は次の通り。

佐々木勇気五段
昼食:親子丼大盛
夕食:肉豆腐定食(もち入り)

藤井聡太四段
昼食:カレー南蛮せいろうどん
夕食:肉しょうが焼き定食

 

 

斎藤慎太郎七段

今日から斎藤慎太郎七段が羽生善治棋聖に挑戦する棋聖戦五番勝負が始まる。

私が初めて生の斎藤慎太郎七段を見たのが、昨年のNHK杯戦1回戦  平藤眞吾七段-斎藤慎太郎六段戦を観戦したときのこと。

(間違いなくスターになりそうな、近い将来の将棋界を引っ張っていく棋士の一人に必ずやなるだろう)というのが、控え室で会ってから後日の電話取材を終えるまでの間を通して私が感じた斎藤慎太郎六段(当時)に対する印象だった。

人をそらさず人柄も良く、礼儀正しくきちんとしていて、でも、ガチガチの優等生という雰囲気では全くなく、良い意味での緩やかな雰囲気を持っている、という感じ。

会った瞬間にパッとオーラを感じることができる代表格が山崎隆之八段と中村太地六段とすると、斎藤慎太郎七段はじわじわとオーラが出てくるタイプ。

棋聖戦中継ブログを見ると、羽生善治棋聖があいさつで、

「最近は将棋界をさまざまな形で取り上げていただくということが増えてきまして、大変ありがたいという風にも思っています。またですね、最近よく取り上げられているのは、大先輩の大先生と、非常に若い……あのー、はい。ちょっとやっぱり、真ん中のところもいるということを見せていかなければ、と思っております」

と語っているように、今回の棋聖戦五番勝負、大いに盛り上がってほしいものだと思う。

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昨年のNHK杯戦 平藤眞吾七段-斎藤慎太郎六段戦で私が書いた観戦記の前半三分の一がNHKテキストビューに掲載されている。

この観戦記では、平藤眞吾七段の関西棋士ならではの面白いキャラクター、解説の畠山鎮七段(斎藤慎太郎七段の師匠)の一手ごとに大きく心揺れる解説にもフォーカスを当てた。

対局前の控え室では、緊張している斎藤慎太郎六段とはほとんど目を合わせることなくスタッフや平藤眞吾七段と談笑していた畠山鎮七段だが、対局が終わって控え室に戻ると、「ここの食堂に行こう、今のうちに覚えておかなきゃな」と畠山鎮七段が斎藤慎太郎六段をNHKの食堂に連れて行って一緒に食事をしている。

若手キラーと若手有望株の戦い(NHKテキストビュー)