棋士とプロレスラー

10年以上前から感じていたことなのだが、昔の棋士とプロレスラーには共通点があったように思う。

将棋は「三間飛車の大野」「四間飛車の大山」「向飛車の升田」「ツノ銀中飛車の松田」「腰掛銀の小堀」「木村後手不敗の陣、銀歩三戦法」「日本一の攻め、高島」「妖刀 花村」「荒法師 灘」「小太刀の名手 丸田」「神武以来の天才 加藤(一)」など、一癖も二癖もありそうな棋士が、得意戦法や技を持って活躍していた。棋士に(○○流ではない)プロレス的なキャッチフレーズがついていた時代だ。

昔のプロレスも、外人レスラーのキャッチフレーズと得意技が明らかだった。

ザ・デストロイヤー=魔王=四の字固め

フリッツ・フォン・エリック=鉄の爪=アイアンクロー

フレッド・ブラッシー=銀髪鬼=噛み付き攻撃

アブドーラ・ザ・ブッチャー=呪術師=地獄突き

キラー・バディ・オースチン=狂犬=パイルドライバー

ディック・ザ・ブルーザー=生傷男=アトミックボムザウェー

クラッシャー・リソワスキー=粉砕男=メリケンサック攻撃

ブルーノ・サンマルチノ=人間発電所=カナディアンバックブリーカー

ルー・テーズ=鉄人=バックドロップ

スカル・マーフィー=海坊主=冷酷な反則攻撃

ブルート・バーナード=獣人=度を越した反則攻撃

現代は、ひとつの必殺得意技(戦法)だけでは成り立たなくなっている時代なので、昔のプロレス的なキャッチフレーズはつきにくくなっているのだろう。個人的にはプロレス的(東京スポーツ的)なキャッチフレーズは大好きだ。

「さばきのアーティスト」よりも「さばきの荒法師」のほうがプロレス的になる。

里見香奈倉敷藤花の「出雲のイナズマ」は、ややプロレス的な味わいのあるキャッチフレーズかもしれない。