3年間ご苦労様でした。

中倉宏美女流二段がブログで、3年間務めたNHK杯将棋トーナメントの司会の思い出などを書いている。

その中で、次の文章にはジーンときた。

『そして何より、まわりの反響の大きさやテレビの力を感じました。イベントなどで、「いつも見てますよ」と声をかけていただいたり・・・驚いたのが、一度地方のイベントでお会いしたおじいさんに、「こんな有名な人に会えるなんて、、。」と涙ながらに握手をしていただいたこと。ただ、テレビに出させていただいているだけで、私自身は何も特別なことはないのに、、、と恐縮やら驚きやらで、こちらまでもらい泣きしました。』

NHK出演の影響度は、本当に思った以上に大きいと思う。

3年間ご苦労様でした。

記録係の甲斐智美女流二段が撮った写真も、なかなかいい。

以前にも書いたが、私は縁があって、NHK将棋講座テキストでNHK杯将棋トーナメントの観戦記を3回書いたことがある。

2005年度2回戦の郷田真隆九段-先崎学八段戦「郷田の真骨頂」

2005年度準々決勝の森下卓九段-三浦弘行八段戦「森下、意表の石田流」

2006年度1回戦の島朗八段(当時)-福崎文吾九段戦 「桜吹雪の日の熱戦」

このうち、3回目の島朗八段-福崎文吾九段戦 が、中倉宏美女流二段が司会を始めて、2度目の収録日だった。

NHK杯は2回分を一日で収録する。そういう意味では午後収録の島八段-福崎九段戦は、中倉宏美女流二段にとって、司会・聞き手としては4回目。解説は福崎九段の弟弟子の阿部隆八段。

桜が満開で強風の2006年4月3日(月)のことだった。

当時の私の観戦記から、行数の関係で削ぎ落とした部分も加えて、当時の控え室の様子をお伝えしたい。

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対局前の控え室では、今期から司会を担当する中倉宏美女流初段に、福崎がいろいろ質問をしていた。

「ツーリング行ってはりますのん?」

「はい、これからはいい季節になりますね」

「中倉さん、僕のと違ってええのん乗ってるからなあ。あれ、なんていうたかなあ?」

「ハーレーです」

「ええなあ。ところで司会は慣れた?……何で僕が司会者にこんなに質問せなあかんの?」

「中倉さんは新しい司会者だから、いろいろ聞いていいんですよ」(阿部) 

「それなら、姉と違うところ10の秘密」

飄々とした福崎とツッコミの阿部のやりとりに中倉は笑いが止まらない。2度目の収録日をむかえた中倉を、本番前にリラックスさせようという気遣いだ。

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あれから3年。感覚的にはもっと前だったような感じがするが、何か感慨深いものがある。