石田流の悲劇(前編)

今度の日曜日から社会人団体リーグ戦(東京アマチュア将棋連盟主催)が開催される。 私が所属するチームは「原宿カサブランカ」。「原宿カサブランカ」は船戸陽子女流二段のお父様が1998年に創設したチームで、当時、原宿で経営されていたレストラン「カサブランカ」がチーム名の由来となっている。今期は3部リーグ青5位でスタート。 ところで、ブログをはじめてから将棋が弱くなったような感じがする。将棋倶楽部24でもレーティングが定常的に100くらい落ちてしまった。 ネット対局の実戦数が減っているのが原因なのか、アマチュア間での石田流対策が進んできたのか… 私は石田流本組みと升田式石田流が大好きでよく指すのだが、今日と明日は、徹底的に自虐的になって、石田流本組みが一気に壊滅してしまった歴史的な2局を取り上げてみたい。 石田流崩しの名手は中原誠十六世名人。 1局目は昭和46年のA級順位戦、中原誠十段(先)-原田泰夫八段戦。 「本に書いてあるように攻めてこられるんで弱った」と原田八段。

石田流の悲劇1

石田流に組ませては居飛車不利という当時の常識のもと、△3二飛には▲2五歩が普通だった。 しかし中原十段は、石田流に組んでほしいと▲6八玉。

石田流の悲劇2

棒金での仕掛け。以下、△同歩▲同金△1三角▲3八飛。  とても恐ろしい姿。

石田流の悲劇3

△3五歩▲2六金△4三銀▲1六歩△5四歩▲5六歩△9四歩▲1五歩。 △5四歩は角をいじめられたときに3一から6四へ移動するための筋道。▲5六歩は6四に角がのぞかれたときの、角道止め用。

石田流の悲劇4

▲1五歩から数手で石田流は壊滅する。 △同歩▲1四歩。

石田流の悲劇5

▲1四歩で石田流に激痛が走る。 △同飛は▲1五香の田楽刺しになるので△2二角。 以下▲3五金△1四飛▲2四歩。

石田流の悲劇6

▲2四歩は飛車の効きを止めるとともに、銀を入手後の▲2三銀(飛車角両取り)の空間作り。 △同歩▲4五歩。

石田流の悲劇7

駒の損得はないのに泣きたくなるような展開。 以下△3四歩▲同金△同銀▲同飛△3三歩▲3六飛△3一角▲2二歩。 △3一角は▲2三銀(飛車角両取り)を避けた手。そこで▲2二歩が、また痛打。

石田流の悲劇8

△1三桂と逃げても▲3三飛成だったり▲2三銀で飛車を殺されたり。 以下△6四角▲5五歩△2五歩▲2一歩成△3四歩▲1一と。

石田流の悲劇9

石田流は見る影もない… 後手が悪手を指したわけでもなく、先手が指したのは自然な手だけ。 「世の中には恐ろしい戦法があるものである」と升田幸三九段も後日解説している。