大野の中飛車(1)

振飛車名人、大野源一九段の名局シリーズ。

この一局は、今月の将棋世界の久保利明棋王の講座でも取り上げられている。

1962年順位戦、大野源一八段(先手)-二上達也八段戦。

1_5

▲5七銀型の大野流中飛車から5筋位取りの展開。

2_6

戦いは7筋へ。そして二上八段からの5筋からの攻撃。

以下、▲4四歩△同銀▲5四歩△5五歩▲4七銀△4五銀▲7六飛△5四銀▲7七桂△4三金▲ 5八金△4四角▲ 1六歩△1四歩▲8六歩

3_6

先手は現在でいうダイヤモンド美濃。細かい折衝が続いたが、これから大決戦となる。

△5三角▲8五歩△7五銀

4_5

数の攻めでは負けているが、飛車交換は先手有利。

なので▲7五同角には△同角の一手。

そして▲6六銀。

5_6

こういう場面は、振飛車党にとってたまらない瞬間。

以下、△7四歩▲7三歩△同飛▲4四歩。

6_5

先手先手と働きかける▲4四歩。

以下、△同金▲7五銀△同歩▲6六飛△7四飛▲6二角。

7_5

▲4四歩の効果が大きく出ている。

△4三金▲4四歩△5三金▲同角成△同金▲6五金。

8_6

芸術的な捌きの大野九段だが、▲6五金のようなゴツい手も多い。

以下、△同銀▲同桂△5二金▲5四歩。

9_5

▲5四歩は芸術的としか言いようがない。

△同飛▲4三銀△同金▲同歩成△同王▲5三金。

10_4

もう、たまらない。

△同飛▲同桂成△同王▲5一飛。

11_2

捌きとはこういうものなのか。

先手の持ち駒なし。後手は持ち駒豊富、しかし丸裸状態。

大野流の面目躍如。

以下、101手で 大野源一八段の勝ち。