試練の感想戦

昨日に続いて感想戦。

アマチュアでも感想戦が大好きな人がいるが、今日は、感想戦を愛してやまない人の話。

その人は、仙台の「杜の都 加部道場」のサイトの、加部康晴さんのエッセイ「想い出話」で紹介されている森田さん。

森田さんは、若い頃、斎藤銀次郎八段に入門したことがあり、東北名人戦で優勝したことがあるというアマ強豪。

とにかく感想戦が大好きで、適当なところで誰かが止めないと、永遠に終わらない感じになってしまうということだ。

他人同士の感想戦に乱入?することもあり、うっかりしていると、いつの間にか、席まで片方の対局者と入れ替わってしまうこともあるほど。

その森田さんが、近々、「杜の都 加部道場」で特別講師をするという。

「杜の都 加部道場」掲示板より。

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加部 康晴(431) 投稿日:2010年4月26日<月>23時33分

先般開催された「第23回:アマ竜王戦 宮城県大会」。

いつの間にか”感想戦の森田さん”で有名になってしまった 森田 甫さんのお元気な姿を拝見。ひところ体調を崩されたと訊いていただけに安心した。

流石に全盛時の”感想戦”と比べ、かつての勢いに翳りは拭えないものの、杜の都道場の子供達には、生の森田さんと盤を挟む経験をさせたいと思っていた。

今回、渡辺剛史君がその恩恵を得ていたようだ。森田さんから見れば、剛史君など孫そのもの。将棋の素晴らしいところは、世代に関係なく1-1の同条件で渡り合えることだ。

これは他ではそうないものである。

対局のほうは、剛史君が終盤の切れ味を発揮して見事に勝ち切っていた。

そして対局終了とほぼ同時に”例の”感想戦が始まる。

これこそが子供達に体験させたい真なる修練である。何が修練かと云えば、感想戦は森田さんの独壇場となる。つまり、森田さんがひとりで喋り駒を動かすのが”森田流”であり、対戦相手は殆どただ座っているだけ。痺れを切らした相手がトイレのふりして中座しても、それすら気づかず、森田さんひとりが感想戦に昂じていることも度々目撃されている。

剛史君はどうであったか? 遠目で眺めていた感じでは、早く席を立ちたいようなソワソワしている様子もなく、むしろ、辛抱強く従順におじいさんの相手をしている如くの姿が見蕩れた。云うならば、孫が気を遣っているわけである。そんな気遣いすら微塵も感じないところが”森田流”の凄さと云われる所以でもある。

そういった意味からも、森田さんとの対局というよりも、局後の感想戦をひとりでも多くの弟子に体験させたいと思っている。 

近々、森田さんには特別講師として杜の都道場へ招きたいと本気で考えている。

ここからは真面目な話だが、森田さんの将棋には本筋を的確に捉える眼力があり、本質的な筋の勉強になる。そして何よりも、果てしなく続く感想戦に辛抱強く付き合える忍耐力が培える。きっと生涯に残る経験となるだろう。

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黒崎昌一ワールドの黒崎さんをはじめとして、森田さん。

杜の都加部道場の子供たちは、お金では買うことができないような、修練を積むことになる。

その感想戦の模様が、YouTubeなどにアップされれば、絶対に見てみたいと思うが、YouTubeは1映像あたり10分がMAXなので、何本にも渡る映像になるのだろう。

忍耐力のあまりない私なので、仮に映像がアップされたとしても、2本目くらいでギブアップしてしまうかもしれない・・・