将棋マガジン1992年4月号、故・池崎和記さんの棋王戦第1局(南芳一王将-羽生善治棋王)観戦記「公開対局で開幕」より。
タイトル戦控え室での、森信雄五段(当時)と村山聖六段(当時)の検討の様子。
森、村山という師弟が、一緒になって将棋の検討を行っている光景が描かれたことはほとんどないと思う。貴重な文章だ。
1時20分、控え室。
▲5八飛の局面を、森信雄五段と村山六段の師弟コンビが研究している。「後手はかなり得していますね」と村山六段が言う。
(中略)
村山「ここで△3五歩と突かれたら先手は困るんじゃないですか?」
以下▲2五桂は△4二銀で、先手は次の△2四歩が受からない。
森「嫌だな」
村山「しかし、羽生先生は△3五歩とは指さないですね。ここは優勢を意識して、△5二飛でしょう。常に次善手で勝とうとするのが羽生先生の将棋ですから。大山先生と同じなんです」
私「羽生将棋は次善手で勝つ?」
村山「知らないんですか、羽生先生の将棋を」
1時33分。羽生は△5二飛。村山予想はピタリと的中した。▲5五歩を受けた手で、後手はゆっくり指しても十分、と思っているらしい。
(以下略)
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森信雄五段(当時)と村山聖六段(当時)の検討の様子。
見たことはないのに、とても懐かしく感じてしまう。
森信雄七段のブログを毎日読んでいると、そのような気持ちに自然になれるのかもしれない。