将棋世界2003年10月号、河口俊彦七段の「新・対局日誌」より。
編集部で油を売っていて、机の上のゲラ(9月号)が目についた。見ると「将棋雑学クイズ」で、設問を考えてみたが、ほとんどわからない。8問中自信を持って答えられるのは3問だけだった。それだって第7問の「将棋連盟が現在地に移る前にあった区」は、私が年寄りだから知っているにすぎない。
それにしても長年将棋界にいて、知らないことが多すぎる、とうなだれていたら、担当のT澤君が「水津さんは、調べれば解ける問題を作ってくれているんです」と慰めてくれた。
すると端の机で、読者からの葉書を読んでいた上野四段が「どんな問題です?」と言うのでゲラを回したら、彼は私よりずっと優秀で、二重マスもすぐに埋めてしまった。
「エライねえ」と感心したら「いや、ヒントを読めば、設問なんか関係なく解けますよ」。
「なるほど、しかしサービス過剰じゃないかね」とT澤君に言うと、「今月号は先生に関係ありますよ」ニヤリとして問題を見せてくれた。
しまった、ヘタなヒントを書いてしまった。
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「将棋雑学クイズ」は、問題の答えをマス目に埋めて、二重マスを上から順に読むと、どういう言葉となるかというクイズ。
2003年9月号の「将棋雑学クイズ」は次のような問題だった。(水津康夫さん出題)
- 詰将棋作家としても有名な推理小説作家で『Kの悲劇』でデビュー
- 升田幸三名人が眠る、世田谷区北烏山の浄土真宗の寺
- 鳩森八幡に祀られている天皇
- 神吉宏充六段が得意とする詰将棋
- 飛車落上手の使う桂馬のテクニック
- 将棋連盟関東の野球チーム名
- 将棋連盟が現在地(渋谷区)に移る前にあった区
- 内藤國雄九段がルー・ウォーレス原作の映画にちなんで名付けた詰将棋の大作
各クイズに答えてマス目をかなで埋めてください。二重マスを上から順に読むと棋譜が満載の書籍が浮かびます。
水津康夫さんはクイズ王。2011年の森内俊之名人就位式では祝辞を述べている。
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クイズ王ならではの見事な視点による問題だ。
この問題で私が正解できたのは5、6、7、8の4問。
たしかに、全問正解しなくとも(あるいは問題を見なくとも)、ヒントを見れば二重マスの言葉(まなで8文字)はわかるかもしれない。
ちなみに、10月号のヒントは、
各クイズに答えてマス目をかなで埋めてください。二重マスを上から順に読むと本誌、人気コーナーが浮かびます。
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将棋文化検定の受検を終えて2週間。結果が判明するまであと2週間
斎藤佑樹投手ショックに見舞われた私の気持ちの半分は、すでに来年の将棋文化検定に向いている。
・・・が、もし、来年の将棋文化検定の問題作成委員会にクイズ王の水津康夫さんが加わるようなことがあったならどうなるのだろう。
とても怖くもあり、とても面白そうでもあり、心が乱れる。