近代将棋1990年2月号、武者野勝巳五段(当時)の「プロ棋界最前線」より。
延長線にもつれ込んだ竜王戦の第8局、私は観戦記という大役を仰せつかり、歴史的な大一番を一番よい席で見せてもらう幸運にめぐりあった。観戦メモは膨大で、「観戦記とは捨てること也と見つけたり」 あまりにもったいないので、新聞の将棋欄に書き切れなかったこぼれ話をここにいくつか紹介しよう。
タイトルマッチの終わった数日後、島七段は相沢薫さん(24)との婚約を発表した。相沢さんはミス川崎の一人、川崎市民プラザでの竜王戦第1局のおり、彼女に花束を渡されたのがきっかけだそうだから、島竜王出会って3ヶ月にて婚約の速攻を決めたのだ。なお、川崎市のイベントやキャンペーンを盛り上げるミス川崎のお嬢さん方は5人おり、島君の幹事により連盟の若手独身棋士との合同コンパを開くとも聞いた。あるいはミス川崎とのカップルがさらに誕生するかもしれないが、残念ながらコンパ参加の棋士名はここでは明かせない。
羽生新竜王のタイトル第一声は「大変なことになってしまったと思います。(竜王位の)責任の重さについてゆけるかどうか」で、これはご存知の方も多いだろう。一方島竜王のそれは「いやあどうも、羽生先生に8番も教えていただきましてありがとうございました」 内心の無念さを感じさせないのはさすがにトレンディー派の旗手。残念とか、悔しいとはおしゃれでないのだろう。
年が明けて、島・羽生の年頭第一声。「竜王位おめでとうございます」と島。「どうも。島さんもご婚約おめでとうございます」と羽生。つづいて、「タイトル戦も終わったし、研究会をまた始めましょう」ということになったが、「一人増えたし、今度は終わった後モノポリーもできますね」の会話にはビックリ。不動産売買ゲームであるモノポリーは5人で遊ぶのが最適なのである。ちなみに島研究会のメンバーは他に佐藤康、森内。
(以下略)
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ミス川崎の方々との合コンに参加したであろう若手棋士は、過去のブログ記事から推理することができる。人数もちょうどピッタリ。
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しかし、奥様をモノポリーの面子に数えるとは大胆な動きだ。
VSの場合だったなら、「一人増えたし、今度は終わった後、三人麻雀もできますね」と誰にでも言えてしまう。
すごい。