アサヒスーパードライの広告「キレ味。この一手。第11回 三浦弘行八段」

将棋世界2001年8月号の、アサヒスーパードライの広告「キレ味。この一手。 第11回 三浦弘行八段」より。

決断の攻め

 畠山成幸六段と私が優勝を争った第29回新人王戦決勝3番勝負の第1局。

 相矢倉から中盤で角取りに△2四銀と打たれたのが図の局面。

 以下、本譜は

▲1三桂成△同玉▲1四歩△2二玉▲1三銀△3一玉▲2四銀成△同歩▲2五歩と進んだ。

 図で▲6八角と引いているようでは△7六歩と取り込まれて苦しい。ここで角を逃げずに▲1三桂成がキレのある一手だった。対して△同香なら、じっと▲6八角と引いておけば、次に▲2五歩△3三銀▲1四歩の攻めが残る。

 本譜の△1三同玉には、あくまで角を逃げずに▲1四歩~▲1三銀と露骨に打ち込んで攻め続けた。以下△同桂なら▲同歩成△同香▲同香成△同玉▲3三歩で何で取っても▲2五桂がある。結局、角が最後まで3五で頑張ったおかげで、終盤の▲4四角と飛び出す決め手にもつながった。

 私の棋風は「渋い受けの棋風」と言われるのだが、本局は切れ味鋭く攻めを続けることができたと思う。

 

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このアサヒスーパードライの「キレ味。この一手。」は将棋世界だけで展開されたアサヒビールの雑誌広告で、棋士が登場して、自身のキレ味のある一手を紹介していくというもの。

将棋世界2000年10月号から2001年12月号まで出稿されており、

  • 2000年10月号 第1回 先崎学八段
  • 2000年11月号 第2回 田中寅彦九段
  • 2000年12月号 第3回 島朗八段
  • 2001年1月号 第4回 屋敷伸之八段
  • 2001年2月号 第5回 森内俊之八段
  • 2001年3月号 第6回 鈴木大介八段
  • 2001年4月号 第7回 森下卓八段
  • 2001年5月号 第8回 丸山忠久名人
  • 2001年6月号 第9回 山崎隆之四段
  • 2001年7月号 第10回 行方尚史六段
  • 2001年8月号 第11回 三浦弘行八段
  • 2001年9月号 第12回 米長邦雄永世棋聖
  • 2001年10月号 第13回 中座真五段
  • 2001年11月号 第14回 佐藤康光九段
  • 2001年12月号 第15回 久保利明七段

と、この年度のA級在籍棋士や若手注目株棋士が登場している。

羽生善治五冠(当時)は、過去に麒麟「秋味」の広告に出演しているため、このアサヒスーパードライの広告には登場していない。

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図からの▲1三桂成は、よく出てきそうな局面。

なるほど、こう攻めれば良いのかと、頭に入りやすい。

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今日は三浦弘行九段の復帰第2戦、王座戦2次予選、三浦弘行九段-先崎学九段戦が行われる。

勝負は紙一重の差の連続。対羽生善治三冠戦で見事に復活しているように見えるが、4ヵ月以上のブランクはこの紙一重の感覚を鈍らせている可能性もある。

それだけでも、今回の冤罪事件は罪が非常に重いわけであるが、三浦九段にとっては紙一重の感覚を何枚分も取り戻したり検証したりする作業が続く。

早く、三浦九段が勝ちまくる日常が戻ってほしい。