将棋ペンクラブ大賞贈呈式の見どころを、受賞者のご紹介を通しながらご案内したいと思います。
○日時:2022年11月13日(日)
13:30 開場 14:00 開演
(終了予定 16:00)
○場所:出版クラブホール 3F
東京都千代田区神田神保町1-32
〔神保町駅(東京メトロ半蔵門線、都営地下鉄新宿線・三田線)A5出口より徒歩2分〕
○会費:1,500円
※事前申込制となります。下記の申し込みフォームからお申し込みください。(会費は当日受付にてお支払いください)
※先着順に受付し、定員に達し次第締め切りとなります。
※お申し込み後、メールが自動送信されます。メールが自動送信された段階で受付完了です。回答後30分が経過しても返信メールが届かない場合は、入力したメールアドレスに間違いがないか確認し、間違いがない場合は迷惑メールフォルダの確認をお願いいたします。
※将棋ペンクラブ会員でない方のお申込みも大歓迎です。
=======================
◯開会の辞
◯表彰式および審査講評
○受賞者の挨拶(約30分)
贈呈式では、将棋ペンクラブ大賞受賞者によるスピーチが名物です。
- 最初にスピーチをしていただくのが、観戦記部門大賞を受賞された椎名龍一さん。2年連続の大賞受賞は、将棋ペンクラブ大賞が始まって以来、初のこととなります。一昨年の優秀賞と合わせると3年連続の受賞となります。受賞のことばでは、一昨年および今回の受賞作の対局者である「クールでキュートな豊島将之九段」と「投了前に時間を使ってスーツブラシで優雅に上着の埃を払ってくださった佐藤天彦九段」に深く感謝したいと書かれています。一方、連続受賞については、「ドッキリカメラ」のような番組に自分は踊らされているのではないだろうかと猜疑心をお持ちで、「贈呈式に野呂圭介さんが”ドッキリ”と書かれたプラカードを掲げて現れないことを祈ります」とも書かれています。椎名さんは、週刊将棋や近代将棋などでスカ太郎というペンネームで様々な面白いコラムを書かれていました。
スカ太郎さんの名作から→「あ、どうも。佐藤です」 - 二番目にスピーチをしていただくのが、観戦記部門優秀賞を受賞された藤井奈々女流初段。今回の最終選考では藤井女流初段の観戦記が2作、対象作品となっていました。受賞のことばでは、なぜ観戦記を書くような立場になったのか不思議で仕方がないこと、いつもどうしたら観戦記を書かなくて良くなるだろうとばかり考えていたこと、ただ観戦記を担当すると、読者の方々の顔が浮かび、少しでも観戦記を楽しく読んでいただけたらいいなという思いが湧いてくるため、いい加減にはできないと悩む日々が続くことが書かれています。そのような中、今回の受賞作(初めてのタイトル戦観戦記)で訪れた福島県いわき市の方々および関係者や両対局者が様々な面で藤井女流初段を支えてくれたことから、藤井女流初段は「この観戦記は、この竜王戦第3局に携わった方々の魂の結集なのではないかと思います。私は、ただ、そのとりまとめ役をさせていただいたのではないかと」「再びこの観戦記にほんの少しでも光が当たることによって、この作品に関わりのある方々、そして対局地の方々が元気になっていただけたら光栄に思います」「やっと、今、この観戦記を担当させていただいて、良かったなと思えます。ありがとうございました」と結ばれています。
- 三番目にスピーチをしていただくのが、『無月の譜』で文芸部門大賞を受賞された、詩人・小説家の松浦寿輝さんです。松浦さんは芥川賞をはじめとする数々の文学賞を受賞、2012年には紫綬褒章、2019年には日本芸術院賞も受賞されています。受賞のことばでは、故・河口俊彦八段の文章のファンであったこと、河口八段の「対局日誌」「新・対局日誌」はほぼ読んでいること、『文學界』での「名文家」特集で、松浦さんが河口八段について書いたことなどが述べられています。河口八段が創設者の一人であり初代会長だった将棋ペンクラブの賞を受賞したことを喜んでいただいているとともに、河口八段に受賞作を読んでもらえなかったことが心残りであることも。「それにしても老師は、藤井聡太の将棋について、その言動や人となりについて、またAI時代の棋界について、どういう感想を持たれただろう。それが知りたいとつくづく思う」と書かれています。
- 四番目にスピーチをしていただくのが、『神の悪手』で文芸部門優秀賞を受賞された小説家・推理作家の芦沢央さんです。「将棋に興味を抱くようになったのは、奨励会がきっかけでした。私自身が夢のあきらめ方がわからずに12年間新人賞への投稿を続けた人間であることもあり、夢に人生を食い潰される恐怖がとても切実なものだったからです」からはじまる「受賞のことば」は、とても心を打たれる文章です。芦沢さんは、2012年に「罪の余白」で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞し、小説家デビューしています。受賞作『神の悪手』には表題作を含む5作が収められています。一昨年、週刊新潮に連載された「神の悪手」の素晴らしさに心を動かされ、個人的な話になりますが、一昨年の将棋ペンクラブ大賞の候補作として推薦したほどです。受賞作は短編集ですが、今度は長編の将棋小説に挑戦してみたいということですので、楽しみです。
- 五番目にスピーチをしていただくのが、『将棋 とっておきの速度計算―逆転負けを減らす5つのパターン―』で技術部門大賞を受賞された石川泰さんです。石川さんは淡路仁茂九段門下。奨励会を三段で退会してから5年、しばらく将棋から離れていた時期があったものの、3年ほど前から将棋に関わる活動を再開。YouTubeで将棋の上達法、考え方を伝えられているとともに、オンラインで本格的な将棋講座を配信中です。また、今年の4月からは指導棋士四段として普及の道も進まれています。「上達法の発信や指導などの活動を通して、プレイヤーとしては気づかなかった将棋の奥深さ、伝えることの難しさを知ると同時に、新たな繋がりの中での将棋の楽しさ、強くなる喜びという初心を再認識させていただいたことで、より積極的に普及活動を行っていきたいという思いが強くなりました」と受賞のことばで書かれています。
- 六番目にスピーチをしていただくのが、『指導のプロが教える 級位者のための将棋上達法』で技術部門優秀賞を受賞された飯島篤也さんです。飯島さんは伊藤果八段門下で指導棋士五段。奨励会退会後、将棋から少し離れた時期もありましたが、小学校の指導に代理で行ったところ、子どもたちの反応が非常に良く、これから毎週来てくれないかと要望され、そこから少しずつ指導が増えていったということです。飯島さんが主宰する「広尾しょうぎ教室」は常に予約でいっぱい。また飯島さんは『カリスマ指導棋士』として有名で、テレビや雑誌に多数出演されています。受賞のことばでは、命よりも大事にしてきた指導のノウハウ、そう簡単には公開できないという思いと、「ノウハウを公開?いやいや、まだ道半ば。公開するにはまだ早い」という思いが併存していたのが、昨今の激変した世相によって矜持や気持ちが一変し「もし、このまま公開する機会を逸して人生を終えてしまう事が起きたら後悔をする。また、後世に伝えたい事も埋もれてしまう」と考えるようになり、受賞作を執筆したと書かれています。「書名を『 級位者のための将棋上達法』としましたが、これが私の指導棋士としての矜持も込めた『指導人生の軌跡』です」とも述べられています。
- 七番目にスピーチをしていただくのが、『駒我心 ~初代女流名人 蛸島彰子の歩み~』で特別賞を受賞された蛸島彰子女流六段です。受賞のことばの「私はただ将棋と将棋界が好きで、ひたすら前のことに一生懸命取り組んできただけですが、改めて振り返ると様々なことが懐かしく、多くの出会いや助けに感謝の気持ちでいっぱいです」「1974年に女流名人位戦が始まり、まもなく50年が経とうとしています。もっと将棋を楽しむ女性が増えてほしい、女流棋士には輝いてほしい、といつも願っています。そのために、自分にできることがあればいつでも何かのお役に立てるように、これからの人生も歩んでいきたいと思います」がとても感動的です。贈呈式には、LPSA代表理事の中倉宏美女流二段、受賞作の出版を発案した大庭美夏女流初段も来場されます。
○観戦記者トークショー「観戦記者の注目するポイント」(約30分)
出演:椎名龍一さん(観戦記部門大賞) × 藤井奈々女流初段(観戦記部門優秀賞)
◯将棋文芸トークショー「小説家が魅せられた将棋の世界」(約30分)
出演:芦沢央さん(作家・文芸部門優秀賞) × 森田正光さん(気象予報士・ゲスト最終選考委員)
お天気キャスターとしてテレビなどでおなじみの森田正光さんには、今回の将棋ペンクラブ大賞ゲスト最終選考委員を務めていただきました。森田さんは昔からの愛棋家でアマ三段の実力をお持ちです。NHK新春特別番組の「大逆転将棋」をはじめとする将棋番組、東急将棋まつり、トークショー、将棋雑誌の対談などにも出演されています。最近は寝る前にAIと二枚落ちで指して、勝つと気持ちよく寝られるということです。
=======================