渋谷守生さんのこと、将棋ペンクラブ会報夏号予告など

元・東京都知事の鈴木俊一氏が5月14日に亡くなった。享年99歳。

美濃部革新都政でボロボロになった都の財政を鈴木俊一氏は一時期立てなおし、都知事を4期16年間務めたが、1991年の4選出馬時、「鈴木降ろし」の動きが表面化した。

自民党本部は公明党・民社党と相乗り(後にスポーツ平和党も参加)、NHK報道局長の磯村尚徳氏を擁立してきた。

それに対し、自民党東京都連は鈴木俊一氏を推薦。

「鈴木では勝てない」という小沢一郎自民党幹事長(当時)に対して、「総理大臣はあなたが選ぶだろうが、都議会の知事候補は我々が選ぶ」と毅然と言って行動したのが、東京都議会自民党幹事長(当時)の渋谷守生さんだった。

自民党は党本部と都連のねじれ現象で選挙戦を迎えたが、地元に密着している都連の奮闘により、結果は鈴木俊一都知事の圧勝だった。

小沢一郎自民党幹事長は、選挙直後、責任を取り党幹事長を辞職することになる。(小沢一郎氏は、この2年後、自民党を出ていってしまう)

ここに出てくる渋谷守生さんこそが、東京アマチュア将棋連盟会長、日本アマチュア将棋連盟会長を長く務め、昨年大山賞を受賞した渋谷守生さん(元東京都議会議長、元都議会議員)だ。

渋谷さんは実力六段。今年89歳になるが、3月にあった里見香奈女流名人表彰式に出席するなど非常にお元気。

とても政治家だったとは思えないほど朴訥とした温厚な方であり、大山賞の贈呈式には多くの女流棋士がお祝いに駆けつけたという。

その渋谷守生さんの「思い出話」が、今度の将棋ペンクラブ会報夏号(6月19日発送)から連載される。

日本アマチュア将棋連盟(アマ連)発足当時のこと、団鬼六さんや小池重明さんのこと、戦後のセミプロ棋士のことなど、私も数回分の原稿を拝見したが、とても興味深く面白い内容だ。

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将棋ペンクラブ会報夏号(6月19日発送)は、様々な投稿で内容満載。

私が知っている範囲だけでも、名古屋のアマ強豪で元・藤内金吾八段門下の湯川寿香さんの自伝小説的ノンフィクション第二回「操りお銀」。

これは、誰が読んでも泣けてしまうと思う。

バトルロイヤル風間さんが、どのようなイラストを描いているのか楽しみだ。

バトルさんも泣いたのではないだろうか。

乞うご期待。

そして、林葉直子さんと木村晋介弁護士の飛車落ち戦の観戦記。

これは私が書いている。

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日本アマチュア将棋連盟(アマ連)は、1977年に元アマ名人の関則可さんたちによって発足された。

初代会長は、余暇開発センター理事長で元通産次官の故・佐橋滋氏。(この時、渋谷さんは副会長で、渋谷さんは10年後に第二代の会長になる)

佐橋滋氏は「ミスター通産省」と呼ばれ、城山三郎「官僚たちの夏」の主人公のモデルにもなった人だ。

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渋谷守生さんは、町田駅前で「囲碁将棋サロン桂」を経営している。

勝又清和六段、早水千紗女流二段、坂東香菜子女流2級が指導に来ているという。

また、第72回将棋武相名人戦・一般大会が今年の2月に行われており、渋谷さんのご自宅の敷地にある建物が会場になっている。

[渋谷さんの著書]

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