将棋世界昭和47年2月号の「将棋相談室」での相談は次の通り。
図は、ついさきごろ、私が友人と後手番をもって、早石田の戦法を用いて対戦したとき、つぎのような経過をたどって生じた局面です。(棋譜略)
▲4八銀の定法を無視して、▲2四歩△同歩▲同飛と走ってきたりして、先手の指し方はずいぶん無謀のように思えるのですが、図以下、次のように進んで、結局、私の負けに終わりました。
△3七歩成▲3三歩△同飛▲2二竜△同銀▲3七桂△6二玉▲4五桂△2三飛▲3五角
図のようになっては、もはや後手が悪いのでしょうか。
また、はじめの図以下、後手としてはどうすればよいか、以上の二点についてよろしくご指導下さい。
(答…回答者は、名調子の観戦記で有名な陣太鼓こと山本武雄八段)
やはり無理筋
先手が王手飛車取りの筋があるのを、ついうっかりして攻めを急ぎ、後手に△3六歩と突かれて、あわてて飛車を成り込んできたものか。それとも、かねての研究による、計画的なものであるか。その点にまず興味を覚えますが、それはさておき、定跡書に「△3六歩▲同歩△8八角成▲同銀△1五角」で、簡単に後手よしとして解説を打ち切られ、多くをふれていない盲点をついた作戦で、△3七歩成に▲3三歩をきかせて飛、角を振りかわり、王手竜取りの返し技を見越して▲3七桂と応ずるなど、その後の指し口も的確に急所をついていて、非常に感心させられました。
さて、図ではどちらがよいか、ということですが、▲2四歩の飛車取りを防いで、以下『△2九飛成
▲5三角成(▲5三桂成は△7二玉、▲5三桂不成は△5二金左▲6一桂成△同玉でともに後手が十分)△7二玉▲4三馬△3二歩』
の棋移が想定され、▲5三桂不成には△5二金左のかわし手があって、どちらとも言いかねる棋勢です。
とすれば、先手の要求が通った格好になりますので、局面をはじめの図までもどして、改めて検討してみましょう。
つづく