昭和13年の大野流中飛車

昨日、少しだけ触れた、昭和13年の升田幸三五段-大野源一六段戦。

横歩取りの出だしだが、現代の居飛車対中飛車に似ている。後の振飛車名人、大野源一の中盤までの構想が印象的。

今から71年前の「サンデー毎日」優秀棋士選抜戦 升田幸三五段-大野源一六段戦より。手の解説はついていないので形だけをご覧いただきたい。思想や発想は違うのかもしれないが、ほとんど現代風。

先手が升田五段、後手が大野六段。

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まずは、当時の横歩取りの出だし。

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このへんも、当時の横歩取りの出だし。

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後手はもはや振飛車の世界。当時としては極めてユニークな形。

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なんと升田五段は左美濃。71年前とはとても思えない。先手が1歩得なのを別とすれば、中井広恵六段-成田弥穂女子アマ王位戦といわれても不思議ではない。

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大野六段は3筋の歩がないことを逆用し、石田流の構えに。三間飛車ファンにはたまらない瞬間。

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そして攻め合い。

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熱戦が続くが、最後は後手の玉頭が傷となり、123手で升田五段の勝ち。

相掛かり、横歩取りが全盛の頃、というと数年前のように聞こえるが、71年前の「振飛車、気合悪し」といわれていた時代の棋譜だ。