将棋世界12月号を読む

将棋世界12月号を読んだ。その中からトピックスを。

絶望からの防衛

深浦康市王位による王位戦第7局の自戦記。

神戸で0勝3敗となった晩、申し訳ないとは思いながらも打ち上げに出ずに東京へ帰った時の、苦悩や心境が非常によく伝わってくる。

これで矢倉は指せる

木村一基八段の講座。

王位戦、3勝0敗として王位獲得にリーチがかかっている第4局。

「今さら指し手のことをいってもしょうがないが」としながらも「第4局の封じ手場面だけは悔やまれる」と心情を語っている。

封じ手の後の変化があまりに多様だったため、それを考えて指し掛けの夜寝られなくなってしまったということだ。

「封じ手も勝負のうちなんだということを痛感した。今は、今回得た経験をまた次に生かすしかないと思っている」

深浦康市王位の自戦記、木村一基八段の講座の両方を読むと、タイトル戦がいかに苛酷なものか、相乗して伝わってくる。

「心の在りよう」の差

梅田望夫さんの王座戦第2局エッセイ。

「時間に追われる」ことに対する、羽生善治王座と山崎隆之七段の思いの違いを軸として書かれた非常に興味深く面白いエッセイ。

「華」のある山崎隆之の項も、見事な表現だと思う。

突き抜ける!現代将棋

勝又清和六段の講座。

今回は「果てしなき石田流ロマン」。

升田幸三九段と大山康晴名人による升田式石田流の激闘、1971年の名人戦、第2局、第3局、第4局、第6局、第7局を発端として、現代の石田流に言及する。

羽生善治四冠、久保利明棋王、鈴木大介八段、戸辺誠五段の「升田の石田流」「現代の石田流」に対するコメントがそれぞれ興味深い。

最後の頃に出てくる石川陽生七段の泣かせるコメントも最高。

感想戦後の感想

高橋呉郎さんの「感想戦後の感想」、今回は小林宏六段。

高橋呉郎さんと小林宏六段の縁、山登りのこと、師匠の真部一男九段との交流のこと、ほのぼのとした気持ちになれる。

高橋呉郎さんと小林宏六段の縁に関わる繋がりについては、近々このブログの別の記事でとりあげたいと思う。

さばきのエッセンス

久保利明棋王の講座。「鈴木流急戦」。

冒頭、大野流振飛車との出会いについて書かれている。

久保利明棋王は大野源一九段の「大野の振飛車」が愛読書だった。

久保棋王があこがれた大野源一九段の捌き、

photo

図は1966年順位戦の五十嵐豊一八段(先)-大野源一八段戦。

大野九段の次の一手は、「さばきのエッセンス」にて。

あっという間の3手詰

森信雄七段。

ヨウムの金太郎の写真が載っている。

将棋世界 2009年 12月号 [雑誌] 将棋世界 2009年 12月号 [雑誌]
価格:¥ 750(税込)
発売日:2009-11-02