近代将棋1997年7月号、大矢順正さんの棋界こぼれ話で紹介されていた話。
福島県二本松市の正覚寺には将棋の墓がある。
三度の飯より将棋が好きだった旧二本松藩の算者(計理)、 佐久間庄九郎の墓で、墓石は駒の形、台石は将棋盤、水入れは駒の形をしている。
佐久間庄九郎はユーモアに長けた好人物で誰からも好かれ、暇を見ては将棋を楽しみ弟子たちにも教えていた。
晩年、将棋を指しながら眠るがごとく大往生したという。
後に、弟子たちが師を偲んでこの墓を建てて冥福を祈った。
戒名は飛角院金銀桂香居士。
戒名には飛車から香車まで使われているが、王と歩が抜けている。
それは、生前、自らを大腑抜け(王歩抜け)と称していたからということだ。
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私の知人に「ゆかり」という名の女性がいる。
彼女はあるとき、友人達との旅行で大きな忘れ物をしてしまったらしい。
それ以来、彼女は友人達に「ぬかり」と呼ばれるようになったという。
「腑抜け」、「抜かり」とも最近の日常会話ではあまり使われなくなった。
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山口瞳さんの著書によると、故・金易二郎名誉九段の妹の名は「タマ」だった。
タマさんは、苗字を早く変えたいと、若いときから結婚をしたがっていたという。