加藤一二三九段とチョコレートなど

昨日の記事の番組の2回目からは、二上達也会長(当時)と加藤一二三九段も出演者として登場する。

将棋マガジン1996年8月号、「神吉宏充の禁断の戦法」より。

(太字が神吉六段の文章)

まったくもって凄いメンバーがそろったものだが、それに対応するTBSスタッフの気苦労も大変だ。ことあるごとに私に「どうさせて頂いたらよろしいでしょう」と伺いが来る。

加藤先生には先崎と私が「チョコレート用意しておいた方がいいですよ。明治の板チョコがベスト」と言うと、早速TBSのスタッフの皆さん、明治に連絡して「棋士の方に食べていただけるのなら」と120枚入りの一箱を提供受けてきた。

もちろん加藤先生、控え室へ入るなり、ドーンと置かれているそれを見て「ホー、ホ、ホ、ホ」とバリバリ。瞬時に二枚ペロリで「私は一日8枚食べることに決めているんですネ。ハイ」

本当に加藤九段は個性的で楽しい先生だ。

「私はですね、野球が好きでして、ウンウン、サード守ればモノ凄く上手いですよ。モノ凄く。華麗なるフォームでファーストに投げ込むんですけど、ウンウン、これが自分で言うのも何ですけど、素晴らしい。本当に素晴らしい。今でもキングスでサードを守らせてもらえるならですネ、そりゃ皆さんに素晴らしい守備を見ていただけると思うんですけどネ。ウンウン。バッティングですか? これはダメ! そんな自慢できるほどのものではありません。私は自分をわかっていますから、ダメなものはダメとちゃんと言えます。守備は素晴らしいですけどバッティングはダメです、ハイ」

(中略)

石田九段と加藤九段の立て板に水会話を静かに聞きながら、ときおり「ふっ」と渋い味を見せるのが二上会長。よく聞いているとなにやらボソボソ反論しているようだが…たとえば加藤九段の華麗なる守備には「自分で言ってるだけじゃわからん、言うのは誰でも言えるから」とか、「年が年なんだから」とか言っているような…。

それでも野球の話をフルと、暫く間をおいて「私もネ、昔は町内会のエースだった」と一言。

二上達也九段の特徴も非常にうまくとらえられている。

それにしても、残りのチョコレート118枚がどうなったのか、とても気になる。