27年前の悲劇

今では考えられないような、でも30年近く前なら大いにあった話。

近代将棋1998年7月号、泉正樹七段「21世紀の初段をめざせ」より。

以前、他誌で講座を任されているとき「膨張する独身棋士貴族」なるくだらない記事を載せたが、あれから約4年で「続々詰み上がる独身棋士族」という具合に状況は大きく一変してしまった。

20代の既婚者が皆無とは異常であったが、その反動であろうかこぞって幸福者が誕生。

およそ3年間で20名近くもの数ですから、いやはや、なんとも凄いハイペースです。

事の発端はやはり、”羽生七冠王の婚約”で、芸能人並に取りざたされたそのフィーバーぶりで他の棋士へもおハチが回ってきたのかもしれない。

棋士がモテるようになったかはさておき、立派な職業として一般の人にも理解されはじめてきた。初対面の女性や酒場のママなどに職業を聞かれても「将棋棋士です」で、すむようになったし、中には「エーーあの公文式の羽生さんと同じお仕事、すご~い」と、えらく感動されるようにもなりました。

これが一昔前なら「エッ、何それ、しょうぎっておじいさん達がやるゲームでしょう。ダッサーイ」あからさまに毛嫌いされていました。

もう15年以上前になるでしょうか。

後輩の富岡、北島、豊川らとナンパ遊びに出かけていましたが、うまくいきそうなところなのに私がうっかり「実は俺たち将棋のプロなんだぜ!」と、大失言。

すると彼女たちは突然用事を思い出したように「あっ、そろそろ行かなくちゃ、ネ」「そうね、これで失礼するわ」「じゃあネ、バイビー」と口々に言ってあっさり遠ざかって行くのであった。

富岡君からは「泉さん、あれほど将棋のことは出しちゃダメだって言ったじゃないですか」と叱られ、北島君からは「そうですよ、棋士だなんて言ったら嫌われるに決まっていますよ」と責められ、さらに豊川君からは「女の子に将棋の話したってわかる訳ないっスね……」と、厳しくダメを押される始末。

野獣が二十代前半の頃は将棋と聞くと、こういうように理由もなく敬遠されていたのです。当時から見れば将棋界に”追っかけギャル”なるものが現れようとは想像を絶することだったのです。

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泉正樹七段の結婚は、この文章を書いた数年後のことになる。

奥菜恵さんに似た美人女医が奥様になる。

「27年前の悲劇」への2件のフィードバック

  1. スポーツ選手もそうですが、昔のようにいかにも勝負の世界に生きている、というルックスの人は少なくなったことも、人気の1つかもしれませんね。
    考えてみると、キャリア女性にとって、棋士はいい結婚相手ではないでしょうか。思いつくままに理由をあげると・・・
    1. 基本的に対局以外は家にいることが多いので、家事や子育てを任せられる。
    2. 転勤がないため、別居する可能性が少ない。
    3. 自身が転勤になっても、国内であるならば一緒についてきてくれる可能性がある。
    4. その筋では有名人であるため、仕事関係の将棋オタクから一目置かれやすい。
    5. NHK杯に出場することになれば、さらに広い範囲で一目置かれやすい。
    6. 引退しても将棋関係の仕事を続けられるので、サラリーマンのように退職後に粗大ゴミと化すこととならない。
    おそらく上記のようなことを思う女性は少なくないのではないでしょうか。

  2. 青葉繁さん
    それにプラスして、芸能人やスポーツ選手に比べて環境的には堅実なので、奥さんからすれば有名人の割には浮気をしないという安心感もあるかもしれませんね。

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