渡辺明ブログに天下一将棋会2のことが書かれていたので、天下一将棋会のサイトに行ってみた。
天下一将棋会2はコナミが開発したアーケードゲームで、将棋倶楽部24のようなオンライン対局モードと、CPU(BONANZA)対局モードがある。
いずれも派手な演出があって、かなり面白そうだ。
また、e-AMUSEMENT PASSを持てば、段位や戦績も保存され、どの駒を何回使ったかまで見ることができる。
初段以上になると、その人の棋風をシステムが判断してくれて、火鬼神(攻撃型)、水鬼神(防御型)、風鬼神(急戦型)、土鬼神(持久戦型)のいずれかに認定される。
たしかに、今までになかった付加価値が盛り込まれているようだ。
渡辺明竜王の特別動画も、プロのクリエーターが制作したのだと思うが、とてもいい。→渡辺明竜王特別動画
ロケテスト開催のページの羽生善治名人、渡辺明竜王、鈴木環那女流初段の写真は、いかにもゲームセンターっぽい雰囲気のオーラが出ていて、笑えてしまう。
特に鈴木環那女流初段は、いつもの鈴木環那女流初段ではない。
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昭和の末期頃だったか、ゲームセンターの将棋はとても弱かった。
何度か勝つと、持ち時間がどんどん減らされて、切れ負けで終わるというパターン。
それから思えば隔世の感だ。
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私が大学4年の時、スペースインベーダーが大流行していた。
家庭教師の帰り、電車に乗る前に駅前のゲームセンターへ立ち寄ったことがあった。
小さなゲームセンターだったので、スペースインベーダーの席が10席ほど。
私は手先は器用なほうではないので、スペースインベーダーは下手だった。
私の席から桂馬の位置の席で、私服の女子高生二人が遊んでいた。
少しすると、女子高生のうちの一人が私に話しかけてきた。
「すみません。スペースインベーダー教えてくれませんか」
自分のゲームをほったらかしにして、女の子たちのテーブルへ行ってみると、私の点数の10倍以上のスコアを出している。
これは手合違いだと思い、
「いや、この調子で大丈夫」
と言って、自分の席へ戻った。
すると、少し経ってから、また女子高生のうちの一人が「スペースインベーダー教えてください」。
この時になって、もしかしたらナンパされているのかなと気付いた。
しかし所持金は1000円。
二人を喫茶店にも連れて行けない。
「ごめん、これから用事があるので」
とウソを言って、ゲームセンターを出た。
二人とも、なかなか可愛い雰囲気だった。
とても惜しかった。
翌週、家庭教師が終わったあと、ゲームセンターに寄った。
その子たちは来ていなかった。
その次の時もゲームセンターに寄ってスペースインベーダーをやったが、その子たちはいなかった。
次の時も、その次の時も。
ここに至って、私は、高校の漢文の時間に習った「株を守る」の意味を身をもって実感した。
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あれがスペースインベーダーではなく将棋だったら、女の子たちに教えることができたのだろうなと思う。
天下一将棋会2をやっている女の子が、「すみません、今とても不利なんですが、次の一手教えてくれませんか」と話しかけてきてくれたら、どれほど素晴らしいことだろう。
ああ、20代に戻りたい。