過ぎたるは及ばざるがごとし。
将棋世界2000年5月号、鈴木大介六段の「鈴木大介の振り飛車日記」より。
加藤一二三九段とのNHK杯。
加藤九段とは2回目の対戦で、前回もこのNHK杯で負けており、僕にとっては願ってもない雪辱戦となった。
加藤先生といえば、咳払いや秒読みになってからの「後何分」攻撃だ。初めての対局の時は面喰ってしまったが、今回は対策万全である。というのは前日に行きたくもないパチンコに行き(実は新台入替日)、帰りに”耳栓”という必勝アイテムを手に入れたからだ。
ところが当日よくよく考えてみると、このアイテムを使うとたしかに相手の動きは気にならないのだが、今度は自分への秒読みも聞こえなくなってしまう事に気付く。まさか僕が秒を読まれる事はないかとも思ったが、家に居る時の対子供用にも使えそうだったのでそちらで使う事にした。
肝心な対局の方は僕の四間飛車に加藤九段のこれしかない十八番”棒銀”の戦い。中盤で指した▲7七金が筋は悪いのだが自分らしい会心の一手で、以下ややもたつくものの何とか勝ち切る事ができた。
(以下略)
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NHK杯のような短い持ち時間、かつ、対局者が対局中に席を立つことがない一局を戦って耳栓が必要だと感じたわけで、加藤一二三九段の対局中の行動は、ド迫力に満ちたものだと、あらためて実感することができる。