将棋マガジン1993年6月号、鹿野圭生女流初段(当時)の「タマの目」より。
☆内藤VS南の観戦をした日
内藤九段「おっタマヨちゃんやないか」
タマ「ヨじゃなくてオですってば。今日は観戦記者なんです。よろしくお願いしまーす」
内藤「(記録係に向かって)おい、すまんけど灰皿持ってきてくれィ。・・・ふたぁつな」
南九段「クックックッ」
タマ「(あたふた)そんなぁ、先生、私観戦の時は吸いませんから」
内藤「ええやん、一緒に吸うた方が、(煙草も)うまいでぇ」
タマ「はぁ・・・」
☆有吉一門会
有吉九段「今日は遠慮せずにしっかり食べなさいよ」
弟子一同「はい」
―食事中―
有吉「君は今年はよく頑張ったんだから、これも食べなさいよ」
タマ「はい、頂きます」
(という具合で、弟子の誰もがお腹いっぱいになる)
有吉「それじゃあ、喫茶店にでもいって解散にしようか」
(ぞろぞろと場所移動)
タマ「(小さな声で)お腹減ったなあ。御飯でも食べますか」
有森六段「(これも小さな声で)そういえば御飯は食べんかったなあ」
(と超満腹なのに冗談を言う)
有吉「(すかさず聞きつけて)あぁそういえば今日は中華だったから御飯がなかったねェ。そうだ、お茶漬けのおいしい所があるから、そこへ行こう」
有森・タマ「(大あわてで)いえいえ、冗談ですよ冗談」
有吉「そう、いいの?」
有森・タマ「ハイ!!」
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関西二大巨頭の、ちょっといい話。
鹿野圭生女流初段(当時)は、くわえ煙草で麻雀をやるほどの愛煙家。
南九段の「クックックッ」も、なかなかいい味を出している。
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有吉九段の「食べなさいよ」の語尾の”よ”は、師匠の大山康晴十五世名人譲り。
弟子思いの有吉九段の優しさが、とてもよく出ている話だ。