棒銀原理主義者

将棋世界2003年5月号、日浦市郎七段(当時)のA級順位戦最終局「挑決は羽生VS佐藤に」より。

 谷川浩司王位対藤井猛九段戦は勝った方にプレーオフの可能性が残る。先手藤井の四間飛車はいつも通りだが谷川が後手で棒銀というのが珍しい。

 余談だが、この日の午後、控え室に加藤一二三九段が顔を見せたらしい(僕は会っていないのだが)。加藤といえば、四間飛車には棒銀、三間飛車にも棒銀、矢倉でも棒銀、そして裏芸は角換わり棒銀という有名な「棒銀原理主義者」。その加藤はこの進行を見てカン高い声で「あっ、棒銀ですか。ほう。ほほう。ほう」と話し、ニコニコしながらスタスタ帰っていったそうだ。

(以下略)

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ツノ銀中飛車に対する▲5五歩からの仕掛けなど、加藤一二三九段は棒銀とは関係のない様々な振り飛車破りの定跡を創っているのだが、加藤一二三九段がいつの頃から棒銀を主力戦法にするようになったのかは分からない。

それまで、幕の内弁当、天ぷらそば、親子丼など、いろいろな食べ物を食べていた人が、しばらく合わないうちに、鰻重ばかりを食べる人に豹変したようなイメージでもある。

「棒銀原理主義者」。一つの戦法の道を極める姿、布教する姿、棒銀に熱狂する姿などが織り込まれた、絶妙な言葉だと思う。

    

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