将棋世界1990年9月号、鈴木宏彦さんの「漂う大物感 佐藤康光という男」より。
20歳だった佐藤康光五段(当時)へのインタビュー。
―室岡さんの話によると、佐藤さんは普段の生活では将棋以外にほとんどエネルギーを使っていないとか。
佐藤 そんなことはありません。
―旅行以外の趣味は。音楽は。
佐藤 あまり聞きません。
―本は。
佐藤 ほとんど読みません。
―買い物は。
佐藤 たまにまとめて。
―ガールフレンドは。
佐藤 残念ながら。
―家にいるときはおもに何をしているんでしょう。
佐藤 じっとしています。たまにバイオリンを弾くくらい。
―どうも、室岡さんの言うことは正しいようですが・・・。
佐藤 最近、将棋連盟の野球部に入りました。外野を走りまわっています。
(以下略)
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鈴木宏彦さんが、「どうも、室岡さんの言うことは正しいようですが・・・」と言うのも当然だ。
とはいえ、そのような佐藤康光五段(当時)が関東若手棋士・奨励会員の野球チーム「キングス・ジュニア」に入り野球を始めている。
既にキングス・ジュニアで指名打者として活躍していた、ライバルである森内俊之五段(当時)に刺激を受けたことによるものなのかもしれない。
このインタビューは7月頃に行われていて、佐藤康光五段の試合デビューは11月20日。
対バッカス(日本将棋連盟職員チーム)戦。
当時の記録では、次のように書かれている。
この時は前回欠場した中川四段、中田(宏)五段と、初参加の佐藤(康)五段が、いずれもブレーキとなってしまい、8-5でバッカスチームが快勝した。
しかし、後年、佐藤康光王将は、竜王戦の賞金の一部で後楽園ドームを借り切り、草野球大会を開催している。
これぞと思ったことをとことん追求する姿勢、立派だ。
(佐藤康光五段の野球の様子)