森内・渡辺物語(後編)

2009年 竜王戦七番勝負

この年の竜王戦は、前年に永世竜王を資格を得た渡辺明竜王に森内俊之九段が挑戦、渡辺竜王が4勝0敗で防衛を果たした。(タイトル・段位は当時のもの)

2010年9月麹町 将棋ペンクラブ大賞贈呈式 

2010年の将棋ペンクラブ大賞技術部門は、大賞が渡辺明竜王の「永世竜王への軌跡」、優秀賞が阿久津主税七段の「必ず役立つプロの常識」、技術体系賞が森内俊之九段の「矢倉の急所2」だった。

1年前に竜王戦を戦った渡辺竜王と森内九段が揃って出席をした贈呈式となった。

第22回将棋ペンクラブ大賞贈呈式(2)

この時に、湯川博士さんは渡辺竜王に将棋寄席への出演を依頼していたようだ。

2010年12月28日浅草 将棋寄席

将棋寄席に渡辺竜王が出演。

バトルロイヤル風間さんの似顔絵コントのコーナーで壇上に上がり、バトルさんからインタビュー(?)を受けながら変則的な似顔絵を描かれるというもの。

将棋寄席へ行く(2010年)

渡辺竜王は翌年、王座戦で羽生善治王座を3勝0敗で破り王座を獲得する。

湯川博士さんの落語やバトルロイヤル風間さんのコントを見ると1年以内にタイトルを奪取するというジンクスがあるのではないか、と考えた6年前のことを思い出した。

2011年12月28日浅草 将棋寄席

なんと、この年の将棋寄席には森内名人が出演。

湯川恵子さんがインタビューする形式のトークコーナー。

2011年将棋寄席

2013年初頭 東京

湯川博士さんから、「将棋寄席は今年が最後」と聞く。

準備がしんどくなってきたし、10回で区切りが良いからということだった。

たしかに、よく10回も続いたものだと思う。

将棋寄席が始まった日と渡辺明竜王誕生の日が同じ。

そして、将棋寄席は今年が最後。

ふと、渡辺明竜王の連続防衛記録が途切れたらイヤだな、味が悪いな、と思った。

2013年月11月29日 黒部市

竜王戦七番勝負、渡辺明竜王が1勝4敗で竜王位を失冠

何の連動性もないことだが、私が今年の初めから抱いていた不安が現実のものとなった。

よくよく考えてみれば、森内竜王名人は9年間、”前竜王”だったことになる。

2003年、森林公園での演芸会を森内九段が見て、

その年に森内九段が竜王位を獲得し、

その時の演芸会が元になった翌年の第1回将棋寄席の日に、渡辺六段が森内竜王名人を破り渡辺竜王が誕生し、

将棋寄席が終了する年に、渡辺竜王が森内名人に敗れ、森内竜王名人となる。

この10年間の、森内俊之竜王名人と渡辺明二冠の姿を思い出すと、とても感慨深い思いがこみ上げてくる。

将棋寄席は今年で終わるが、森内俊之竜王名人と渡辺明二冠の戦いは続く。

これからも、この二人にどのようなドラマが生まれるか、非常に楽しみだ。