先週末に発行された将棋ペンクラブ会報秋号掲載の、将棋ペンクラブ大賞受賞者の「受賞のことば」から、その一部の抜粋を。
観戦記部門大賞 北野新太さん
2010年に現担当となる前はプロ野球、Jリーグ、五輪競技などのスポーツも取材していた。新聞記者以前まで遡れば、小学校から大学までひたすらバスケットボールをプレーしていたし、ボードゲームに没頭した記憶もない。つまり、将棋とは無縁の人生を歩んできた。
不思議なものである。そんな私にとって、今では将棋以上に、棋士以上に魂の震える対象など存在しないのだから。
観戦記部門優秀賞 湯川恵子さん
あの対局室で、午後、終盤になるほどにますます里見さんが体調悪そうな様子だった。若い女の子なのに、さすがよくぞ黙って我慢するものだ。さぞ痛いんだろうなと単純に同情できたのは私も痛みを抱えていたからだ。昨年暮れ21日に右足を骨折し、ギブスをはめ松葉杖を使っていた。
文芸部門大賞 天野貴元さん
何かを失うことによって、自分が思ってもみなかった別の人生を手に入れることもあるということを、私はこの本を出したことによってはじめて知ったような気がします。
いつ何時でもいい、「将棋の世界にもこんな奴がいたんだな」と、どこかで誰かに思っていただけたら、それは私にとって最高の救いです。
文芸部門優秀賞 森内俊之竜王
現役棋士が勝負について語ることは意外に難しい。戦いはずっと続いていくし、たまたま結果が出た時も、周囲に対する配慮が必要だ。
私も、今回出版のお話をいただいた時は、正直かなり迷いがあった。もう少し時間が経ってからの方が良いのではないか、とも考えたが、ご要望いただいているうちが華だし、最終的には今がタイミングなのかなという気持ちでお引き受けすることにした。
技術部門大賞 森信雄七段
ここ数年の私の身の回りは①弟子のこと②子ども教室のこと③その他の雑事に振り回されて、自分のことはほとんど置き去りになっている。
日々ささやかながら身を粉にしてエネルギーを使っているが、①年齢のせいか心身ともに体力低下②働けど働けど◯◯暇なし③弟子の活躍の割に、全体では慢性の神経消耗の状態である。そういう中でのうれしい受賞だった!
まあたまには自分のことでうれしいことがあってもいいよなあ…心の中でつぶやく。
技術部門優秀賞 杉本昌隆七段
今回の受賞が決まってから、前述の佐藤記者、棋士仲間、地元ファンの方々から祝福の言葉をいただいた。本業の対局以外で言われると、くすぐったいような妙な気分にもなるが、ある意味本業で誉められるよりもずっと嬉しい。
対局と普及、そして執筆活動は四段時代から続いている私の棋士としてのスタイル。今回の受賞を励みに、対局も初心に戻ってしっかり指したい。
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受賞された方々の言葉、本当は会報に掲載されている全文をお読みいただきたいのですが、その中からの抜粋です。
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将棋ペンクラブ大賞贈呈式は、来週の金曜日に行われます。
皆様のご来場をお待ちしております。
日時:2014年9月19日(金)
18:00 開場 18:30 開演
(終了予定 20:30頃)
場所:スクワール麹町 (東京・JR四谷駅前)
会費:男性8,000円 女性6,000円
※将棋ペンクラブ会員ではない方の参加も大歓迎です。
※参加申し込みや予約は不要です。
※パーティのとき女流棋士による指導対局コーナーが設けられます。指導対局を担当いただくのは、安食総子女流初段と渡部愛女流初段です。