森内俊之新四段(当時)に一問一答

将棋世界1987年7月号、「ライバルは羽生、佐藤 森内俊之新四段」より。

森内俊之新四段に一問一答

―奨励会入会は

「57年秋。小学校6年の時です」

―得意戦法は

「居飛車です」

―棋風は

「攻め将棋でしょうか?」

―将来の目標は

「名人です」

―尊敬する棋士は

「米長九段」

―ライバルは

「佐藤康光四段、羽生善治四段、先崎学三段」

―四段昇段を果たしての感想は

「特にありません」

―三度四段への一番を逃しましたが

「(まだ昇り目が続いていたので)今度は上がってやろうと思っていました」

―将棋の勉強はどのように

「いまは、月に四つの研究会(気の合った棋士・奨励会員同士で形成される小グループ)に顔を出しています。先輩棋士の方たちにもんでもらうのがよい勉強になります」

(インタビューしてみて感じたことは、態度や物言いなど、総じて大変力強いということ。目標はと尋ねたら、ノータイムで「名人」。その語調には、何でそんなことをわざわざ聞くのですかという響きがあった。―N記者)

森内将棋をどう見る。

羽生四段「四段は時間の問題と思っていました。居飛車党の攻めっ気の強い将棋。もちろんライバルです」

佐藤四段「終盤が強い将棋。人柄は、つき合いがいいという感じで、ライバルでもあり良き友でもあります」

先崎三段「粘りがある。勝負にからいといいますか……。あれっ、ボクと正反対ですね」

滝六段(奨励会幹事)

「奨励会員の中では、とにかくガッツは一番という感じでしたね。将棋はヒラメキとは違って地道流かな。師匠とは逆ですかね。闘志を内に秘めるタイプと思うんですが、その闘志が表にバンバン発散されている感じがある。すごいですよ。勝負に徹しているし。将来性ですか。私の立場からは、有望ですとだけ言っておきましょう」

写真: DSC_0100

将棋世界1987年7月号掲載の写真

 

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現在の森内俊之竜王とはだいぶ印象が異なるような感じがする16歳の森内俊之四段。

攻めっ気が強い将棋であること、闘志が表に発散されているところなどが、イメージ的に大きな違いだろうか。

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森内竜王の著書「覆す力」を読み直してみると、この頃は、子供の時からの夢だったプロ棋士になれたのは嬉しかったけれども達成感はそれほど大きいものではなかった、自分よりも1年半も早く四段になっていた羽生四段に早く追いつきたい、大きく開いてしまった差を覆したい、という思いの方が強かった、と書かれている。

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文中のN記者は、中野隆義さんと思われる。

中野さんからは、昨日の記事に次のようなコメントをいただいている。

昇段の一番を負かされた次の対局に全力を尽くせるような精神力を持たなければダメだと思いました。と、これは、勝率が良く昇段の一番を数多く迎えながら取り逃がしてきた、ある奨励会員が誰に言うともなく発した言葉でした。こんなことは四段になれたから言えるのですがね。と、彼は続けました。祝杯を重ねながら、ああ、俺は記者でよかったと思ったものです。

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昨年、毎週土曜日に耳鼻科へ通わなければいけなくなり、そのついでということで、その耳鼻科の近くにある将棋道場へ足を運ぶことにした。

三段で申告して指してみると、なんと6連勝。

次の週の土曜日も行くと出だし2連勝。

次が昇段の一局。(9連勝または13勝2敗で昇段)

道場側も強豪をぶつけてきたのか、その一局はあえなく敗退。

勝ち筋の見当たらない負け方だったので、逆にショックは少なかったのか、その後2連勝。

あと3勝1敗以上で昇段、というところで夕方から約束があったので、この日はここまで。

しかし、翌週は道場へは行かなかった。

3勝する前に2敗したら相当ガッカリするだろうな、という深層心理だった。

20年以上前に、渋谷の道場で三段から四段に昇段したことがあったので、四段に絶対に昇段するぞ、という動機付けも弱かったこともある。

その後すぐ、鼻の手術(副鼻腔炎)で別の大きな病院に入院することになっていたので、まあ、退院してから考えようということで先送りしていた。

退院後、術後のメンテナンスということで、再び近所の耳鼻科へ通うこととなったが、やはり3勝する前に2敗したらイヤだな、昇段にリーチをかけたままでいる方が気分的にはいいかも、と考え、その将棋道場へ行くことはなかった。そのうちに近所の耳鼻科に通わなくても良くなり、今に至る。

アマチュアの私でさえこのような感じなのだから、プロの場合の精神的負担は想像もできないくらい大きなものなのだろう。

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16歳で祖父が棋士、ということが今日の記事の森内四段(当時)との共通点だが、昨日、囲碁の藤沢里菜二段が女流本因坊を獲得している。

16歳藤沢里菜二段、女流本因坊を奪取 女性プロ最年少(朝日新聞)