将棋世界1989年5月号、青島たつひこさん(鈴木輝彦さん)の「駒ゴマスクランブル」より。
女流棋士発足15周年記念パーティーが新宿のホテル・センチュリーハイアットで開かれた。
会の準備、企画その他何から何まで女流棋士だけで開いた会。「400人も集ってくれるかな」と心配していたら、なんと560人もの参加者があったそうだ。将棋関係のパーティーとしては、かなりの記録といっていいだろう。
ポラロイドカメラの撮影会、谷川名人と清水市代さん、塚田八段と林葉直子さんのデュエット……いろいろあって楽しい会だった。
「中井さんと植山さんのデュエットはないんですか」と記者に聞いてきたのは前々日、700万円を手に入れたばかりの森内四段。どういう意味なんでしょう。
森内四段、先崎四段ほどではないが、案外いたずら坊主みたいなところがある。賞金の使い道を聞けば、「いえ、びっくりしちゃって何もまだ考えてません」なんていってるが、これは恐らく本音ではないだろう。
会場を見渡していると、見慣れない美少女がたくさんいる。聞けば女流育成会の子たちらしい。女流棋界の予備軍も着々と充実していること、うかつにも知らなかった。
本誌でも近くヤング女流の特集を組むらしい。これは楽しみだ。
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森内俊之四段(当時)はこの年の3月13日に行われた第7回全日本プロトーナメント第3局で谷川浩司名人(当時)に勝って優勝し、700万円の優勝賞金を獲得している。
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女流棋士発足15周年記念パーティーは3月15日に催されている。
森内四段が「中井さんと植山さんのデュエットはないんですか」と鈴木宏彦さんに聞いたのも3月15日。
植山悦行五段(当時)と中井広恵女流名人(当時)の婚約が発表されたのが5月12日。
ということで、森内四段の「中井さんと植山さんのデュエットはないんですか」は、婚約の2ヵ月前に発せられた言葉で、そういうこともあって鈴木宏彦さんは「どういう意味なんでしょう」ととぼけながら、森内四段にはいたずら坊主みたいなところがあると書いている。
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中井女流名人は、4月10日にあった女流名人表彰式で「恋をすると女性は弱くなるといわれますが、私は絶対にそんなことはないと思います」と、恋愛宣言をしている。