将棋世界1989年5月号、故・小野修一六段の「受け方教えます」より。
先日、米長先生宅で研究会が行われた。とはいっても将棋ではなく碁の話。今の若い棋士は升田先生にお会いしたことがないので、米長九段の計らいで升田先生をお呼びして碁を教わることになったのだ。
手合は森下五段が井目。羽生五段が八子。先崎四段が六子。
升田先生は、なぜか下手と打たれるのが大変お好きなようにうかがっているが、噂に違わず初めの森下五段は途中でつぶれてしまい、次の羽生五段は二十目位負けてしまった。こうなると升田先生は焼酎のお湯割りを飲みながらご機嫌で、本当にうれしいとヒゲが落ちそうになるそうだ。(注米長九段談)
最後に、「これがうちの弟子で第二の升田といわれる先崎です」と米長九段。先崎四段が六子と下手にきつい手合でいどむが、一局目は中押し負け。升田先生は第二の升田という言葉が不満そうで、一局目が終わると「これで(この碁で)第二の升田か」とおっしゃったが、米長九段「いや、碁の話ではなく態度が先生みたい(?)になるということです」。二局目先崎四段善戦するもおよばず。
升田先生が帰られた後、ヒゲをお忘れではないかと皆で堀りゴタツの中まで捜したけれどそれはなく、主人は大変喜んでましたと奥様から電話を頂いた素晴らしい一日であった。
(以下略)
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囲碁ではアマチュアの場合、八子が8段差(8級差)、六子が6段差(6級差)、井目(九子)が9段差以上(9級差以上)の手合割。
羽生善治五段(当時)がアマチュア初段だったということなので、升田幸三実力制第四代名人が囲碁が強かったとはいえ、その強さは並大抵ではなかったことがわかる。
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升田幸三実力制第四代名人の飲み物というと焼酎のお湯割りが有名だ。
私も夏でも焼酎のお湯割りを飲むほど、外で飲む時は焼酎のお湯割りが中心。
日本将棋連盟への出前でおなじみの千駄ヶ谷のみろく庵の蕎麦焼酎の蕎麦湯割りなどは、なかなかの逸品だ。
今日の記事を書くにあたって、焼酎のお湯割りの正しい作り方を調べてみた。複数の酒造会社のホームページなどで共通して述べられていることは、
- 酒器に熱いお湯を入れてから焼酎を注ぐのがコツ
- 焼酎とお湯の比率は、焼酎6に対しお湯4
お湯を先に入れることによって、
- 香りがぐっと引き立つ
- お湯と焼酎の温度差で自然に対流がおき、かき混ぜなくても温度や濃度が均一になる(かき混ぜるとアルコールが揮発してしまい、本来の美味しさを味わえなくなる)
ということのようだ。
焼酎6に対しお湯4は、日本酒と同じアルコール濃度になるということ。
焼酎のお湯割りは先にお湯を入れるべし、と、どこかで聞いたことはあったが、私はそういうことを気にせず、今までは先に焼酎を5~7入れてからお湯を5~3注ぐ方式だった。
これからは、お勧めの方式でお湯割りを飲んでみようと思う。