井上慶太八段(当時)「あれはないですわ。精神があきません」

将棋世界1997年12月号、神吉宏充六段(当時)の「今月の眼 関西」より。

 ゴルフが一向に上達しない。始めて14年目、そろそろテレビで見たような格好いいフォームでパシッと飛ばしてビシッと寄せたいが、よく飛んでも次がチョロだったり、2オンしても4パットって事もある。

 アメリカ人なら「ノウ~!!」と叫んでしまうミスショットに、やはりこちらも上達度?パーセントの谷川浩司竜王・名人は「ゴルフなんてやめてやるブツブツ」と言っている。まあ、この「やめてやる」宣言はいつものことなので良しとして、14年前とほとんど変わらないスコアには、なんで上手くならへんねやろ?とお互い嘆く日々。

 ところがその謎が遂に解けたのである。私の場合、名古屋の中山則男四段曰く「プレー中、ずっとウケ狙いのギャグばっかりやっとるからですわ。急に歌い出したり、キャディーさんを笑わしたり……気合なんて入らんでしょう」だそうである。そう言われてみれば、プレー終了後は喉が痛いし、どこをどう回ったか記憶にない。うーん、こればっかりは私の性格やからなあ……。

 谷川浩司竜王・名人。井上慶太八段曰く「兄弟子はあきません。だってこの前ゴルフ回ったとき、ボールみたら巨人のロゴマークの付いたのを使っとったんですわ。なんぼもらったから勿体ないて言うたって、大の阪神タイガースファンのくせに、あれはないですわ。精神があきません」とバッサリ。そや、それやったらそのボール私に分けてんか!(あんたも阪神ファンやろ! 慶太)

(以下略)

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恋人や妻子や両親の写真がプリントされたされたゴルフボールがあったとしたら、心理的・道義的にとても打てないと思う。

ゴルフボールの場合はこの辺の解釈が難しく、谷川浩司竜王・名人(当時)が大好きな阪神ではなく、宿敵・巨人のボールを使っていたのは、それはそれで理にかなっているように思えるのだが、これは私がゴルフが下手だからそう感じるのかもしれないわけで、なかなか難しい。