谷川浩司二冠(当時)「ただ、羽生棋王の自信満々の手つきが、どうも気になる」

羽生善治王座・棋王に竜王位を奪われて二冠となった谷川浩司棋聖・王将が、三冠復帰をかけて羽生三冠に挑んだ棋王戦五番勝負。

最終局の第5局、両対局者が自戦記を書いている。

将棋マガジン1993年6月号、羽生善治棋王(当時)の第18期棋王戦五番勝負第5局〔対 谷川浩司二冠〕自戦記「きわどい勝利」、および、将棋世界1993年6月号、谷川浩司二冠(当時)の第18期棋王戦五番勝負第5局〔対 羽生善治三冠〕自戦記「慎重さを欠く」より。

羽生三冠の自戦記は青い文字谷川二冠の自戦記は赤い文字

棋王戦第5局。将棋マガジン1993年6月号より、撮影は弦巻勝さん。

〔羽生棋王〕

 私にとって2回目の防衛戦となる第18期棋王戦は谷川先生を迎えて2月より五番勝負がスタートしました。スタート前は今回はかなりしんどい戦いになる気がしていました。

 なぜなら、諸々の条件があまり良くなかったからです。

 少し例を挙げると、

  1. 谷川先生は挑戦者でタイトル戦を戦うと、ここ最近は全く負けていない。
  2. 棋聖戦、王将戦でストレート勝ちをし谷川先生は絶好調。
  3. 私のとっては竜王奪取後、初めてのタイトル戦で緊張を持続できるか。

 等々です。そして、開幕してみますと奇数局は谷川先生、偶数局は私が制し、勝敗は最終局に持ち越されることになりました。

 ここまでは何故か先手番勝ちが続いているので最終局では先手番になって気が少し楽になりました。

 もっとも内容や勝敗はそんな所で決まりませんが。

 今期、谷川先生との対局はこれで14局目で、私の7勝6敗。

 相撲で言えば勝ち越しを賭けた一番となるわけですが、この一局は色々な意味で今年度の総決算になるのだなあとしみじみと思いました。

 最終局の対局場は東京の将棋会館、普段ここで対局する時は午前10時からなのですが、タイトル戦は午前9時から。

 いつもの対局へ行くまでの時間が1時間早くなるわけですが、程良い緊張のためか全く気になりませんでした。

〔谷川二冠〕

 嫌な予感は的中した。

 振り駒で歩が3枚出て、羽生棋王の先手―である。

 竜王戦の最終局も後手番になってしまった。ただ、このシリーズでは後手番の勝率が高かったので、振り駒の結果はそれ程気にならなかった。

 しかし今度は違う。棋王戦はここまで、全て先手番が勝っているのである。

 これで、今期の羽生竜王とのタイトル戦での振り駒は、4連敗で終了した。

 最終局までもつれ込んだ時は、通常1局目の先後は影響しないのだが、竜王戦と棋王戦では千日手が1局入っている。

 14局戦って、私の先手番は5局しかなかったのである。

―ここで、最終局が偶数局の時に振り駒をする必要があるのか、という愚痴の一つも言いたくなるのだが、負け惜しみに取られそうだし、振り駒も勝負の内なのである。

 ただこの規定は前から気になっている。

〔羽生棋王〕

 作戦はどれにしようとあれこれ迷いましたが、結局、指し慣れた矢倉で行くことにしました。

 しかし、じっくりと玉を囲いあうのではなく、少し欲張りな▲7九角(1図)で趣向をこらしてみました。

 この手の意味は、▲6八玉~▲7八玉と早囲いをするのと、▲3六歩~▲3五歩として仕掛ける2通りの狙い。危険もあります。

 この形は作戦の棋王戦で初防衛を決めた一局と同じ形で私にとっては縁起の良い形です。

 しかし、久し振りに指す形でもあるので不安もあったのも事実です。

 プロ間ではこの▲7九角は急戦調の将棋になって先手の方が面白くないと思っている人が多いのか、あまり実戦例を見ない形でもあります。

〔谷川二冠〕

 とにかく、後手番である。今期だけでなく、棋王戦の五番勝負では先手番の勝率が異常に高い事を知っていても、勝負の流れが羽生棋王の方に傾いている事を感じたとしても、とにかく戦うしかないのである。

 初手に2分。そして3手目に4分。ここでの数分は長く感じられるものだ。

 先手番での羽生竜王は、作戦がなかなか読めない。第2局のような角換わりかとも思ったが、結局は矢倉に落ち着いた。

 だが、15手目の▲7七銀にまた緊張が走る。案の定、▲7九角(1図)からの早囲い狙いである。

 ただ、この形での▲7九角は矢倉中飛車に組まれて危険、というのが通説になっている(そのために、△5二金でなく△7四歩を先に突いている)。

 ▲7九角は序盤の勝負手なのだ。

1図以下の指し手
△6四歩▲2六歩△6三銀▲2五歩△5二飛▲7八金△7三桂▲6九玉△5五歩▲同歩△同飛▲5六歩△5一飛▲2四歩△同歩▲同角△2三歩▲4六角△6二金▲5七銀△5四銀(2図)

〔羽生三冠〕

 △6四歩は急戦の意思表示、昨年の南先生との対戦では△3三銀と指されました。このあたりは個人の好み、棋風も関係あるのでしょう。

 平凡な駒組みが続いているようですが、実は構想の組み立て方に苦労した所でもあります。

 例えば角は4六、6八、1五のどこの位置がベストなのか、5筋に歩を打った方が良いかどうかなど迷いました。

 本譜の組み立て方は一番手厚く、手堅い形です。

 後手の方は矢倉中飛車から自然な好形を組み上げています。

 △5四銀(2図)と指されて私は迷いました。

〔谷川二冠〕

 1図から21手進んだ2図。次に△5五歩と打てば受けが難しいので、ここでは作戦勝ちと思っていた。

2図以下の指し手
▲6四角(3図)

〔羽生三冠〕

 ▲6四角、▲7五歩、▲7九玉この3つの中でどれを選べば良いのか。最初の2つは戦いを起こす手、▲7九玉は待つ手、しかし、▲7九玉は△5五歩でどうも困りそうなのですぐに思考の対象外となりました。

 2択となってもよく解らなかったのですが、歩を得するのだから悪くはならないだろうと判断、▲6四角を選びました。

 この局面で谷川先生が長考され、昼食休憩となりました。

〔谷川二冠〕

(2図から)▲7五歩△5五歩▲7四歩△8五桂▲2四歩△同歩▲同角(A図)も考えた、と羽生棋王。

 ▲7三歩成△同金▲4二角成△同玉▲6二銀を狙うわけで、これはA図以下、△5六歩▲同銀△5五歩で一気に終盤戦になる。

 本譜は▲6四角。だが、これは羽生棋王としても自信のある動きではなかったと思う。

 ただ、矢倉中飛車というのは玉飛角接近の超悪形。模様が良さそうに見えても、手がつくと早いし、勝ち切るのは大変なのである。

 最近殆ど指した事がない、という点も不安材料だった。

3図以下の指し手
△6三金▲4六角△5五歩▲2四歩△同歩▲2三歩△4四角▲5五歩△同銀▲2四角(4図)

〔羽生三冠〕

 3図で谷川先生は△5五歩も考えたそうですが、▲7五歩の筋を警戒して△6三金と自重したようです。△5五歩に対して▲2四歩~▲2三歩はどうだったか、▲5五同歩△同銀▲5六歩△4六銀▲同銀と角銀交換に甘んじる指し方も有力でした。

 本譜は2歩持った状況を生かしてということなのですが、形勢は少し苦しくなった気がしていました。

 自分ではそんなに悪い手を指したつもりはないのですが、やはり▲7九角が少し図々しいのかもしれません。

 どうして4図が少し苦しいと思ったかと言うと、△2七歩▲同飛△5六歩と反撃してくる手順があり、▲4六銀なら△同銀▲同角△3八銀で先手が困るので、▲6八銀右の一手なのですが、△8五桂▲5八歩(変化A図)となって先手陣はペシャンコになってしまうからです。

 先手から次に厳しい手がなく、▲7九玉~▲8八玉として相手が攻めて来るまでじっと待っていなければならない情けない状況です。

 変化A図のような展開では最初の予定より大きく異なってします。

 ところが……。

〔谷川二冠〕

 4図、ここがまずポイントだった。

4図以下の指し手
△5六歩▲4六銀△同銀▲同角△5五銀▲6八角△8五桂(5図)

 △5六歩は、22分考えた割には読みが入っていなかった。▲4六銀なら△同銀▲同角△5七銀で良し、と考えていたのだが、実際にぶつけられてみると、△5七銀の時に▲5三歩(B図)がある。

 B図は、△5三同飛に▲6四銀が強烈。底歩が利かない状況では飛車は渡せない。

 4図では△2七歩と叩く。▲5八飛なら△2三金があるので、ここでは▲同飛の一手。そこで△5六歩。今度は▲4六銀に△同銀▲同角△3八銀があるので、▲6八銀右に△8五桂と跳ぶ。これならリードを保っていたはずである。

 22分の後、また41分の長考。△4六同銀▲同角の後の△5五銀はいかにも重く、苦しい選択だった。

〔羽生三冠〕

 谷川先生の指し手は単に△5六歩でした。

 これは▲4六銀とぶつける一手。△2七歩ならば▲5八飛で強く戦う予定でした。

 本譜は銀交換後、再び△5五銀と手厚く打つ意外な展開。

 私はもっと激しい変化を重点的に読んでいました。

 しかし、指されてみるとやはり難しい。将棋には色々な指し方があるようです。

 そして5図。この局面は手が広く、長考に入りました。

 まず、▲4五銀が考えられますが、△2七歩▲同飛△7七桂不成▲同金直△6六銀と殺到されてこれは簡単に先手が負けそう。

 じっと▲5八歩と打って次の▲4五銀に期待する手も考えましたが、どうもこの将棋は▲5八歩と打つと負ける気がして指しきれませんでした。

 そんなことを考えていると、ようやく良さそうな手を思い浮かべることが出来ました。

5図以下の指し手
▲5三歩△同銀▲4五銀△7七桂不成▲同金上△2七歩▲同飛(6図)

 ▲5三歩の焦点の歩が良さそうな一手に思えました。

 角、金、銀、いずれで取っても後手の飛車先は重たくなるし、△同飛だと▲4五銀として次の▲4四銀は先手になります。

 本譜は△5三同銀ですが、これならば5図で▲5八歩と打つより数段得をしているのが解ると思います。

 そして、△7七桂不成の瞬間はとても迷った所で、▲同桂か▲同金直かはっきりしませんでした。

 その後の展開が読みにくいのがその原因で、結局、第一感の▲7七同金直を指すことにしました。

〔谷川二冠〕

(5図からの)▲5三歩が味な一手。これで飛車筋を止めて、▲4五銀が厳しい。

 6図。

6図以下の指し手
△2六歩▲2八飛△3五角▲同角△同歩▲2六飛△1五銀(7図)

 勝負をかけるなら△5七銀である。以下▲4四銀△同銀上▲2二歩成△5八銀打だが、この寄せ合いはやはり一手負け。

 27分の長考で自滅を避け、粘りの順を選んだ。

 ▲2二歩成を防ぐためだけの△1五銀(7図)とはいかにも情けないが、飛車さえ押さえれば結構大変なのである。

〔羽生三冠〕

 それからの手順は私には思いもよらない手順でした。

 有難いと思ったのですが、7図の△1五銀を指された時に安易に局面を進め過ぎたのかもしれない、▲2六飛では▲2二歩成△同金▲2六飛の順をもう少し掘り下げるべきだったかと反省し、△1五銀に本局における谷川先生の執念みたいなものを感じました。

 そして、昔、島さんとの竜王戦で▲7一銀という意表の一手で負かされたことも思い出しました。

7図以下の指し手
▲2八飛△3九角▲5八飛(8図)

7図で▲2五飛は△3三桂▲1五飛△4五桂で先手まずいので、▲2八飛はこの一手。

 △3九角から谷川先生の攻撃が続きます。

〔谷川二冠〕

△3九角に▲3八飛は△5七角成があるので、▲5八飛は当然。

 こちらは、△2六歩以降はノータイムで進めている。読み筋通りだからなのだが、そうだとしても腰がすわっていなかった。

 残りは32分だが、32分しかない、と32分もある、では心理的に大きな差がある。形勢も時間も、少し悲観的になっていたようだ。

8図以下の指し手
△4四銀上▲5六銀△同銀▲同飛△5五銀▲5八飛(9図)

 8図。ここで、前譜のノータイム指しの影響が出てしまった。

 △4四銀上では、△5七歩成▲同金と飛車筋を止めてから△4四銀上が正着。

 以下、▲5二歩△同飛▲5三歩△同飛▲5四歩△5一飛▲4四銀△同銀と進むが、この変化は感想戦でも結論が出なかった。

 本譜は一本道となった。

 ▲5六同飛とぶつけられて、歩切れで△5一歩と受けられないので、交換には応じられない。

 ただこの順も、△2六歩に27分考えた時からの読み筋の一つ。△5五銀と出て充分と見ていた。

〔羽生三冠〕

(8図から)△4四銀上の所では△5七歩成▲同金を利かせてから△4四銀上もかなり有力でした。

 以下、▲5二歩△同飛▲5三歩△同飛▲5四歩△5一飛▲4四銀△同銀▲6七金左△5四飛(変化B図)のような展開が予想されもう一山、二山ありそうな将棋になります。

 実戦は勝敗の決着をすぐつける展開となります。

 △4四銀上に▲5六銀が重要な一手で、▲4四同銀でも同じように見えますが、△5七歩成▲同金△4四銀で先手が悪くなります。

 ▲5六同飛の時に△同飛と取りたい所ですが、▲同金の後に▲7一飛が滅茶苦茶に厳しく△5五銀も仕方がありません。

 さて、9図となり一段落、先手は指したい手がたくさんあるので、谷川先生の方は息をつかずに寄せ切ってしまえるかどうかの勝負となって来ました。

 お互いに残り時間も少なくなって来ていよいよ終盤戦です。

9図以下の指し手
△4九銀▲1八飛△5六銀▲同金△同飛▲4五角(10図)

 △4九銀~△5六銀が当然ながら厳しい攻撃です。

 私の方もこれ以上受けていてもきりがないので、▲5六同金~▲4五角(10図)と待望の反撃です。

10図以下の指し手
△5八銀成▲7八玉△5七飛成▲6三角成△5二金▲同馬△同玉▲8八玉(11図)

〔谷川二冠〕

 10図の▲4五角も覚悟の上。ただ、羽生棋王の自信満々の手つきが、どうも気になる。

 残りは、羽生棋王が20分。私が29分。しかし、どちらが勝ちか、既に結論は出ている。

 10図で3分考えたのは、△5八飛成を考えたもの。だがこれは、▲同飛△同銀成▲7九玉で続かない。

 ▲6三角成に△5二金とはじく。私はここで、▲6七金打△6三金▲5七金△同角成▲8六歩ぐらいと読み、その後の寄せ方を考えていた。

 ▲5二同馬△同玉。ここまで進んでもまだ気が付かない。

〔羽生三冠〕

(10図から)△5八銀成の所では、△5八飛成も有力ですが、▲同飛△同銀成▲7九玉で先手が一手残っているようです。△5八銀成とすれば△5二同玉まではほぼ一本道、ここで最初の予定は▲6七金打だったのですが、△4五角でどうもまずいことに気がつきました。

 負けなのかなと思ったのですが、その時、▲8八玉(11図)が閃きました。

 少し考えてみると簡単に負ける手はありません。

 そして、何よりも感触の良い手なので割合に早く決断することができました。

 谷川先生が考えています。5分、10分と時間が経過していくにつれて自分の勝利の確信を確かめていきました。

 そして、次の一手を指された時に投了図までの手順が予想できました。

11図以下の指し手
△7九角▲9八玉△7七竜▲5八飛(12図)

〔谷川二冠〕

 しかし、▲8八玉(11図)と軽く早逃げされて、肩の力が抜けた。

 △7九角▲9八玉△7七竜で必至のつもりが、▲5八飛(12図)が王手になってしまうのである。

 金銀4枚と桂を持たれているので、自玉も受かる形ではない。

 △7九角に15分使っているが、これは気持ちの整理をしていた時間。形作りに応じるしかなかった。

〔羽生三冠〕

△7九角~△7七竜で先手玉は部分的に必至なのですが、▲5八飛(12図)が王手になるのが大きく、これで持ち駒を増やして後手玉は即詰みとなります。

 ”勝ち将棋鬼のごとし”と言いますが、本当にすべての駒が捌けて終局となりました。

12図以下の指し手
△5七竜▲同飛△同角左成▲5四飛(投了図)
まで、101手で羽生棋王の勝ち

〔谷川二冠〕

 大きな勝負だった。

 ここで棋王を取り返せば、竜王を取られた借りの、半分を返す事ができたのだが―。

 今期、羽生竜王との対戦成績は6勝8敗だったのだが、負け越しての差がそのまま、二つのタイトル戦の結果につながってしまった。

 今期は、羽生竜王の勝負強さにやられた。

 本局で悔いが残るのは、8図である。

 ここでノータイムで△4四銀上と指したために、残しておいた32分が全く無駄になってしまったのである。

<追記>

 負けた将棋など思い出したくないのでそのままにしていたのだが、自戦記を書くに当たって、もう一度並べ返してみた。

 11図から△7九角▲9八玉の後、△6八竜▲7八金打△6六角成という手があった。

 ただこれも、▲6八金△同成銀▲同飛△同角成▲8八金(C図)ぐらいで詰めろが続かないのだが、この順で負ける方が棋譜としても綺麗だったと思う。

 年度が変わって、4月8日。羽生竜王との王位リーグで幸先の良いスタートを切ることができた。今年は巻き返しの年にしたい。

〔羽生三冠〕

 投了図以下は△5三金▲5一金△6三玉▲6四銀△同金▲5二飛成以下簡単な即詰みとなります。

 この一局を振り返ってみると序盤、中盤、終盤、いずれも難しく、自信のない展開が続きました。

 そして、最後の最後で本当にきわどく残すことが出来たのは幸運と言うよりないでしょう。

 これで1992年度の有終の美を飾ることができました。

棋王戦第5局。将棋マガジン1993年6月号より、撮影は弦巻勝さん。

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羽生善治三冠(当時)と谷川浩司二冠(当時)が、同じ対局について自戦記を書くというのは非常に珍しく貴重なこと。

一般的には、二人の自戦記を合体してもかえってわかりづらくなるケースもあるが、この両者の自戦記は時系列的にも取り上げている局面的にもポイントが一致しており、合体すると3倍楽しめると思う。

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12図の▲5八飛が、成銀を取りながら王手になっているのが、まさに「勝ち将棋鬼のごとし」の場面。

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「今期、羽生竜王との対戦成績は6勝8敗だったのだが、負け越しての差がそのまま、二つのタイトル戦の結果につながってしまった」

竜王戦はフルセットになって谷川竜王が敗れ、そしてこの棋王戦もフルセットになっての負け。

この2つの負けが2つのタイトル戦の結果ともなっている。

本当に紙一重の世界だったことがわかる。

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東京・将棋会館特別対局室で行われたこの一戦の終局後の写真には、4月からの名人戦を控えた中原誠名人と米長邦雄九段も写っている。

それほど、この一局の注目度が高かったということになる。