「棋士になって一番良かったこと」

将棋マガジン1995年4月号、「第53期順位戦」より、「棋士になって一番良かったこと」からのトピックス。

羽生善治六冠 自由時間が多い

米長邦雄前名人 名人になったこと

谷川浩司王将 亀山選手と食事をした

中原誠永世十段 いろいろな人に会えた

有吉道夫九段 自由

塚田泰明八段 いつも将棋と一緒にいられる

南芳一九段 ファンの人に頭がよいと言われる

森下卓八段 やはり将棋で生きてゆけること

田中寅彦九段 女房を射止めた

村山聖七段 金がたくさんもらえること

内藤國雄九段 自由時間が豊富

森雞二九段 夢が持てる

森内俊之七段 時間が自由に使える

石田和雄九段 勝ったとき嬉しい

中村修八段 将棋で自己表現できる

浦野真彦六段 いい仲間と会えた

丸山忠久五段 時間的に自由がききやすい

郷田真隆五段 見知らぬファンから声援を貰えた

中田功五段 将棋が指せる

藤井猛五段 朝寝坊ができる

先崎学六段 ヒマが多い

三浦弘行四段 将棋がたくさん指せる

中川大輔六段 将棋を指して生きていける

深浦康市五段 いろんな人に出会えた

中田宏樹六段 勝負のつき方がはっきりしている

森信雄六段 わりと自由な時間が多い

久保利明四段 毎日働かなくてすむ

杉本昌隆四段 あるけど書けない

行方尚史四段 変な常識人にならずに済んだ

窪田義行四段 目立てる

北浜健介四段 持ち時間の長い将棋が指せる

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棋士になって一番良かったこと。

やはり、「自由な時間が多い」派が多い。

羽生六冠、森内七段、先崎六段、丸山五段と、羽生世代の棋士にこのような感じ方が多いのが一つの特徴。

有吉九段、内藤九段の宿命のライバル同士が同じ感じ方なのも面白い。

森信雄六段は会社員、塾生を経ているので、より一層、そのように感じるかもしれない。

「自由な時間が多い」派にほとんど近いのが藤井五段、久保四段の振り飛車党。

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「将棋をたくさん指せる」派が、塚田八段、森下八段、中川六段、中田功五段、三浦四段、北浜四段。

自由になる時間を将棋にあてる派とも解釈できる。

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中原永世十段、谷川王将、田中寅彦九段、浦野六段、深浦五段は、人との出会い系。

南九段、郷田五段がファン系。

米長前名人、森雞二九段、石田九段、中村八段、村山七段が将棋をやったことによるアウトプット系。

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杉本四段、行方四段、窪田四段がユニーク派。

その中でも行方四段の「変な常識人にならずに済んだ」のインパクトが強い。

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中田宏樹六段の「勝負のつき方がはっきりしている」は、とても気持ちがわかる。

この正反対の世界が例えば芸能界で、歌や演技が上手いからと言ってメジャーになれるとは限らない。

将棋は勝敗がそのまま結果に結びつく明快な世界。そのぶん厳しさもあるが、やり甲斐があるのも確かだ。

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あくまで1995年版なので、現在同じ質問をしたら、それぞれ、また違う回答が出てくると思う。