今週の週刊将棋の中で、勝敗は紙一重ということを痛感させられる記事が二つあった。(詳細は週刊将棋をご覧ください)
一つ目は、渡辺明永世竜王インタビュー。竜王戦第四局の終盤、羽生名人が水を飲んでいる姿を渡辺竜王が見て、「羽生名人が勝ちを確信されたんだな」と思い呆然と局面を眺めていたら、突然打ち歩詰めのような気がしてきた。「たられば」だが、羽生名人が水を飲んでいなければ結果は違ったものになっていたかもしれない。
二つ目は、A級順位戦、鈴木大介八段-深浦康市王位戦。終盤、鈴木八段優勢だったが、トン死筋だらけだった。深浦王位が力強く駒を打ち込む。ここから鈴木八段の談話。「ビシっと打ち込んでくれたから読み直せたけど、力ない手つきで置かれていたら玉の逃げ方を間違ってトン死だったかも」。
これも。「たられば」だが、深浦王位がビシっと打ち込まなかったら、結果は違ったものになっていたかもしれない。
棋士の本音を聞けると、将棋の面白さが倍増するという好例だと思う。