大野の三間飛車(2)

振飛車名人、故・大野源一九段の名局鑑賞シリーズ第二弾。

湯川博士さんの「振飛車党列伝」でも取り上げられている、1956年の丸田祐三八段(先)-大野源一八段戦。

中盤で、次の一手のような鮮やかな手が出る。

振り飛車党列伝 振り飛車党列伝
価格:¥ 1,449(税込)
発売日:2005-11

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大野流5三銀型三間飛車。

美濃囲いの端歩を受けないのも大野流。端歩を受ける一手を他の手に活用するという思想。升田幸三九段も美濃囲いの端歩を受けないことが多かった。

△7四歩も大野流で、3三の角を5一から7三へのぞく攻撃的な意味合いと、居飛車からの7筋位取りを避ける二つの面を持つ。

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持久戦。お互い様子見のあと、戦端が開かれる。

以下、▲2九飛△4六歩▲同角△4二飛▲4五歩△ 3五歩▲4七金△3四金。

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桂頭を狙いつつ金が盛り上がる。

以下▲6八角△3六歩▲同金△3二飛。

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振飛車が3筋制圧。

ここで先手は▲2四歩。

△同金で良さそうだが、▲3五歩と打たれ金の身動きが取れなくなる。

次の一手が振飛車らしい絶妙手で△2五金!

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▲同金なら△3七飛成、▲同桂は△3六飛、▲2三歩成も△3六飛。

一気に捌けてしまう。

本譜は▲2五同飛△3六飛▲2三歩成△3七飛成。

以下、110手で大野八段の勝ち。

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△2五金は鳥肌が立つような手だ。

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ところで、林葉直子さんのブログが更新されている→のりピー