昨日はオープニングナレーションの台詞に「将棋」が含まれているテレビドラマの話だったが、今日は将棋が主題に深く関わる映画の話。
その映画は、勝新太郎主演の「座頭市地獄旅」(1965年大映)。
極めて大まかな粗筋は次の通り。
旅に出た座頭市(勝新太郎)は、船の中で将棋好きの不気味な浪人・十文字(成田三樹夫)と知り合い、将棋を通じて親しくなっていく。
この後、座頭市と十文字は、怪我をして破傷風になった子供のために、大道芸や博打をしてお金を稼ぎ、高価な薬を買って子供を助けたりした。
やがて座頭市は、父の仇をさがして旅を続ける病身の若侍(山本学)らと出会う。
彼らの父は旅先で、将棋の揉め事から浪人者に斬られてしまったという。
病身の若侍は、その浪人の顔を知っている従者を連れていた。
ところが、その従者は斬られて死んでしまう。
犯行現場に残された釣り道具の浮きから、座頭市は十文字が下手人および若侍の仇であると疑う。
助けた子供の病気も全快し、再び旅に出かける道すがら、座頭市と十文字は、現代用語でいう目隠し将棋をはじめる。
熱戦の末、勝ちを確信した十文字が、いつもの癖で自分の鼻を撫で指先をパチンと鳴らしたとき、座頭市は隠し持っていた浮きを見せる。十文字が驚いた隙に、座頭市は十文字を斬る。
この場面、Amazonの解説では「特に市と十文字が脳裏で将棋を指しながら、対決の機会をうかがうあたりの描写は、本作の白眉たる名シーンに仕上がっている」と書かれている。
そして駆け付けた若侍兄妹が止めを刺す。
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実は私は「座頭市地獄旅」を観たことがない。DVDも絶版または重版未定ということで残念だ。
「将棋の揉め事から浪人者に斬られてしまった」という設定、江戸時代なら本当にあったことなのかもしれない。
負ける辛さは、将棋のほうが囲碁よりもはるかに大きい。
ところで勝新太郎と成田三樹夫は、大の将棋好き。
俳優の仕事には待ち時間が多いので、昔は撮影所で将棋が盛んだったようだ。