近代将棋2003年3月号、鈴木宏彦さんの「妙手ポカ、いま昔」で、昭和60年(1985年)と平成14年(2002年)の名人・A級11人の平均年齢を比較している。
1985年は45.4歳、2002年は34.9歳で、17年の間に10歳以上平均年齢が若返っているというものだった。
1985年は、大山康晴十五世名人(64)、二上達也九段(54)、有吉道夫九段(50)などが活躍しており、唯一の20代は谷川浩司前名人(23)。
2002年は、最年長が青野照市九段(49)、次が谷川浩司王位(40)。唯一の20代は三浦弘行八段(28)。
羽生世代が一気に平均年齢を若返らせた形だ。
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手元の将棋雑誌をもとに、他の年の名人・A級11人の平均年齢も計算してみた。
1971年 41.1歳
1985年 45.4歳
1990年 40.5歳
1995年 37.7歳
2000年 36.7歳
2002年 34.9歳
2005年 34.5歳
2010年 38.7歳
2011年 40.0歳
○1971年 41.1歳 → 1985年 45.4歳
1971年から1985年まで平均年齢が上がっているのは、大山康晴十五世名人、中原誠十六世名人、米長邦雄永世棋聖、加藤一二三九段、二上達也九段、有吉道夫九段、内藤國雄九段などのA級常連組がいて、その棋士達の年齢とともに平均年齢も上がっていったからと思われる。
○1990年 40.5歳 → 1995年 37.7歳
1995年が1990年に比べ一気に若返っているのは、20代の増加によるもので、羽生善治竜王・名人(24)、森下卓八段(28)、森内俊之八段(24)、村山聖八段(26)。
○2000年 36.7歳 → 2002年 34.9歳
2002年が2000年比べ短期間のうちに平均年齢が2歳近く若返ったのは、加藤一二三九段の影響によるものだが、この時期に羽生世代が磐石のA級常連となる。
○2005年 34.5歳 → 2010年 38.7歳
2005年と2010年を比較すると、5年間で4.2歳のアップ。
2005年と2010年では、渡辺明竜王・高橋道雄九段・木村一基八段が森下卓九段、鈴木大介八段、佐藤康光九段と入れ替わった形。
羽生世代の棋士(羽生名人、森内九段、郷田九段、丸山九段、藤井九段)、谷川九段、三浦八段、久保二冠がA級を固め、その年齢とともに平均年齢も上がっていったということがわかる。
2011年は、佐藤九段・屋敷九段が藤井九段・木村八段と入れ替わり、全体合計で3歳上がる。これに1年が加わるので、2011年は2010年に比べ平均年齢が1.3歳アップすることになる。
私は、名人・A級11人の平均年齢が、7~8年後には1985年の45.4歳を越す可能性が高いのではないかと感じている。